クラウドサービスの企業利用は増え続けており(まだ規模こそ小さいものの)、分析を手がけるForresterは、2013年には多くの企業がプライベートクラウドの導入を始めると述べている。
クラウドサービスやプラットフォームにかかる経費が増加するに従い、企業がそれらのサービスを利用する方法もまた進化していく。Forresterは、同社のアナリストが予想した、2013年にクラウド関連で変化するであろう企業の姿勢を10のポイントにまとめた。
企業はクラウドのコストを真剣に検討し始める
組織は2013年に、クラウドのコストに一層の注意を払い始めるだろうとForresterは述べている。
クラウドは常に安いわけではなく、組織が正しい利用モデルに従って使用すれば、安くなる場合が多いというだけのことだ。アナリストによれば、クラウドサービスやプラットフォームから最大の投資利益率(ROI)を得るためには、アプリケーションのコスト構造をモデル化し、利用している資源を監視し、コストと性能のバランスが取れるように修正していく必要があるという。
クラウドのコストを監視する「Cloudyn」「CloudCruiser」「Cloudability」「Newvem」「Rightscale」などのツールや、大手クラウドベンダーが提供するコスト報告ツールは、こうした計算を行う手段を与えてくれる。
優れたコスト管理は、企業によるクラウドのハイブリッド導入、サービスの選択、割引スケジュールの交渉などにも良い影響を与えるとForresterは述べている。
同社の予想によれば、企業の最高財務責任者(CFO)は2013年に、この機会を利用して、クラウドサービスのコストを削減しようとする可能性が高い。
クラウドのサービス品質保証(SLA)に対する考え方が変わる
組織は、自分たちが必要としている弾力性については、プラットフォームではなく、その上で動作するクラウドアプリ単位で考えた方がよいと気づくだろう。
このアプローチを採れば、組織は自分たちが必要とする性能や可用性、セキュリティを手に入れる可能性を高めることができるとForresterは述べている。
もう1つの利点は、プラットフォーム上で実現している10のアプリのうち、1つだけのために、クラウドベンダーと高い水準のSLAのコストについて交渉する必要がないということだ。
パブリッククラウドを使ったエンタープライズアプリケーションの開発が認められる
インフラと運用のチームは、社内の開発者がアプリケーションを作る際に、パブリッククラウドプラットフォームを使うことを受け入れるようになるだろう。
インフラと運用のチームは、そういった開発をブロックするのではなく、認めることで、それらのプラットフォームを安全に使用するための指導を与えることができるし、適切に監督することもできる。
バックアップと災害復旧でのクラウドの利用が増える
これまでは従来の災害復旧用ストレージにバックアップしたほうが安上がりだったデータが、クラウドベースの災害復旧用システムにバックアップしたほうが安くて簡単になる。これは、仮想マシンのデータを複数の拠点を持つクラウドプラットフォームで複製するもので、復旧も早くできるようになるとForresterは予想している。
コスト削減が可能な理由の1つには、クラウドベースの災害復旧システムは、利用した分だけ払う仕組みになり、災害復旧のための第2の拠点の構築に大きな投資を行う必要がなくなるということもある。
クラウドだからと言って廉価品とは限らない
クラウドサービスは低コストの、廉価なハードウェアを使用していることでよく知られているが、2013年にはハイエンド部品で支えられたサービスが豊富になるとForresterは予想している。