子ども達に人気のテレビ番組『セサミストリート』を知らない人はいないだろう。
しかし、セサミストリートの制作を手がけている教育組織「セサミワークショップ」が、“非営利”で運営されていることはご存じだろうか。
多くの子ども達がセサミストリートのウェブサイトにアクセスし、音楽やビデオ、そしてゲームを楽しんでいる(アクセスするとエルモが話し始めるのでご注意ください)。その規模は1日あたり200万ページビューだ。
巨大なメディアサイトではあるが、規模に見合った予算でサイトを運営できない事情もあった。コンテンツと親和性の高いおもちゃや洋服などをネットで販売するのも手だが、あくまでも「すべての子ども達にエンターテイメントを届ける」ことがミッションであるため、営利を追求することができない。また、対象は「すべての子ども達」である。有料課金やユーザー登録制のようなサブスクリプション型サイトの運営にも障壁があった。
おこづかいが少ないからビデオが見られない、貧しいからサイトでゲームを遊べない——そうさせてしまうサイトになってはいけない。
少ないIT予算と公共性を両立させる必要があったのだ。
各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はセサミワークショップのバイスプレジデントで、最高技術責任者(CTO)を務めるノア・ブロードウォーター氏に話を聞いた。

セサミワークショップCTOのノア・ブロードウォーター氏
エンタープライズレベルのコミュニティ
ブロードウォーター氏は、手持ちのIT予算とサイト規模の拡大を両立させるため、オープンソースソフトウェア(OSS)の活用を検討。採用したのがOSSベースのエンタープライズポータル製品「Liferay」だった。
安価であることを理由にOSSを採用すると、酷い目に遭うことがある。