IDC Japanは1月17日、国内での私物端末の業務利用(BYOD)についての分析結果を発表した。2012年11月に利用状況を調査している。
IDCは、BYODを「従業員の私物のモバイル端末を企業などのシステム、あるいは契約しているクラウドサービスにアクセスして、企業が利用ポリシーに準じて認めた従業員が業務で利用すること」と定義している。
その反対となる“シャドーIT”について「企業が業務で私物端末の使用を許可しない状況で、従業員が使用するケース」と「BYODの利用規定を定めないで使用するケース」を指している。現在は、BYOD(許可)とシャドーIT(黙認)が混在している状況と説明している。
BYODとシャドーITを合計した利用率は、スマートフォンが29.2%、タブレットが19.3%、モバイルPCが19.6%、(スマートフォンを除いた)携帯電話が39.1%となっており、携帯電話とスマートフォンがよく利用されていることが分かる。シャドーITは、それぞれの端末で6~8割を占めており、シャドーITの存在は大きいと表現している。
端末別BYODの状況(出典:IDC Japan)
BYODとシャドーITの利用率を従業員規模別に見ると、従業員規模と負の相関にあり、従業員規模が大きくになるに従い、利用率は低くなるという。産業分野別に高い業種は、流通や小売り、卸売りと建設土木、低い業種は金融、製造、自治体、教育となっている。
スマートフォンやタブレット、モバイルPC、携帯電話を合計した、BYODとシャドーITのユーザー数は2011年に192万人だったが、2016年には1265万人に拡大すると予測、2011~2016年の年平均成長率は51.5%としている。特にシャドーITは急激に増加するという。
こうした状況は、企業での働き方を見直す契機になると指摘。コンシューマライゼーションの影響で、エンタープライズITとコンシューマーITが統合されていくと予測し、BYODはその序章に過ぎないと説明している。IDC Japanの渋谷寛氏(PC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「BYODは、企業での働き方を問う大きな潮流になっている。これは、ITコンシューマライゼーションのひとつであり、特にシャドーITの存在は無視できないほど増加している。経営者はBYODという事象をどのようにとらえるか、その岐路に立たされている」