一部の業界用語は、(いいか悪いかは別にして)特に大きな影響を与え、元々その言葉が何を意味していたか思い出せないほど広く使われるキャッチフレーズになる。何十年か前には、「コンバージェンス」がそういう言葉の1つだった。「ビッグデータ」も(その1つ前の言葉である「クラウド」と同じように)その例の1つとして挙げられるだろう。
しかし、言葉を使いすぎることによって、ビッグデータの知的な利用が、通信プロバイダ(それがモバイルキャリアであれ、あるいはケーブル事業者、衛星通信キャリア、固定網キャリアであれ)にとって極めて重要であることが忘れられては困る。通信プロバイダは、今日の常にネットワークにつながっている消費者たちの需要を満たすという難題に取り組んでいるのだ。
2012年5月に発表されたCisco Visual Network Index(VNI)によれば、2016年末には、IPのトラフィックは1.3ゼタバイトに達するという(ゼタバイトは、10の21乗バイトに相当する--つまり、ゼロが21個つくということだ)。最近のTM Forumのレポート「Big Data: big volume, big payback and big challenge」では、過去5年間、データは年平均29%のペースで増加しており、「今後も2桁増加を続けていく可能性が高い」としている。
上昇するストレージのコスト
この増加から生じる第一の困難は、運用面でのものだ。サービスプロバイダはこの量のデータをどう管理すればよいのだろうか。どこにこれを保存し、どのように安全を保ち、どうバックアップを取るか?現実問題として、サービスプロバイダは、データと運用方法に対するアプローチ全般を大きく変えない限り、事業の帳尻が合わないことに気づくはずだ。
1Gバイトあたりのストレージのコストは減少しているが、データ使用量がそれを上回る勢いで増加しているため、この需要についていくために必要なハードウェア経費は上昇し続けている。Barclay's Capitalによれば、企業が保存しているデータは、2014年までの5年間で42%増加すると見込まれているが、これは、同じ期間の企業のストレージにかかる経費が9%増加することを意味している。このため、今後サービスプロバイダが運用環境について見ていく際には、アーキテクチャやビッグデータを意識したアプリケーションやシステムに着目して行かざるを得ないと考えられる。
ビジネス面での課題
しかしまだ、状況は初期段階にある。世界中のサービスプロバイダが、長年の間、増え続けるデータを捉え、管理しようとして取り組みを続けてきたが、最近では、ビッグデータは運用上の課題であると同時に、大きなビジネスチャンスでもあることに気づき始めている。