「Project Ophelia」はゲームチェンジができる製品--ワイズCEOのマナー氏

大河原克行

2013-02-27 17:00

 ワイズテクノロジーは2月27日、東京・青山の青山ダイヤモンドホールにおいて、「Wyse Cloud Client Computing Forum 2013」を開催した。パートナーやユーザー企業など約300人が事前登録したという。

 午後1時からスタートした基調講演には、米Dell Wyseで社長兼CEOを務めるTarkan Maner(ターカン・マナー)氏が登壇。同社の「クラウド・クライアント・コンピューティング戦略」をテーマに講演した。

 同社は仮想デスクトップソリューションにおける世界ナンバーワンのシンクライアントベンダーに位置づけられており、ゼロクライアントをはじめとする製品群を提供。2012年5月には米デルに買収されたが、Dell Wyseとして独立性を維持した形で事業を継続している。

 Maner氏は「フォーチュン500社のほぼすべての企業が、Wyseのソリューションを活用している。世界を俯瞰すると、経済環境が不安定となる一方、企業においてはコンプライアンス遵守が課題となっている。また、ソーシャル、モバイル、バーチャル、コンバージド、コンテクスチュアル、クラウドという6つのITトレンドが重視されている。こうしたなかでWyseは、ハードウェア、ソフトウェア、サービスのすべてを揃えるとともに、デバイスに注力するのではなく使用シーンそのものに注力している。Wyseはここ数年で大きな成長を遂げており、そのなかでも日本は重要な市場になる」などと語った。

Project Opheliaを手にして講演するターカン・マナーCEO
Project Opheliaを手にして講演するターカン・マナーCEO

 また、同社は今年1月、米ラスベガスで開催されたInternational CESで「Project Ophelia」を発表。クラウドにアクセス可能なメモリースティックサイズの超小型無線端末で、テレビ画面やディスプレイに接続してクラウド上のコンテンツにアクセスできる製品だ。2013年7月に米国での発売を予定しており、価格は100ドル以下を想定。「15ドル程度で作れる」(Maner氏)などと語った。

 Project Opheliaは、PCやタブレット、スマートフォンがない場合でも、テレビ画面やモニターをシンクライアント端末のように利用できるのが特徴。Wyse PocketCloudに対応させることで、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からPCやマック上のコンテンツにアクセスし、セキュアな環境でプライベートなクラウド環境を簡単に構築できるという。

 Maner氏は講演のなかで「Project Opheliaはゲームチェンジができる製品」とコメント。「全世界70億人の人口のうち、15億人がPCやスマートフォンなどを所有しているが、55億人がこれらのテクノロジを使えていないのが実態だ。スマートフォンは300ドルと低価格化しているが、ある地域ではそれでも高価である。Project Opheliaは、これを解決できるものになる。また、Project Opheliaは1ワットという低い消費電力である点も鍵となる。PCの消費電力は300ワット、シンクライアントは20ワットであるのに比べても圧倒的に少ない。そして、ローカルドライブもいらず、クラウドに入ったものを利用できるという点が特徴になる」などと語った。

 一方、Maner氏は東京三菱UFJ銀行での7万台以上の導入をはじめとするグローバルでの実績に触れながら、DVS Solution Suites、PocketCloud、Freezer、Cloud Client Manager、Project Opheliaといった同社製品群の強みを強調。あわせて、「Our People and You」というキャッチフレーズを打ち出しながら、「Wyseの日本法人はわずか25人の体制だが、デルの日本法人には2000人の社員がいる。今後はこれも活用していける。そして日本には強固なパートナーシップがある。そのパートナーシップに感謝を申し上げたい」と語り、3人のパートナーを壇上にあげて紹介した。

 ヴィエムウェアの三木泰雄社長は「当社の売上高の約20%がエンドユーザーコンピューティングや仮想デスクトップとなってきた。Project Opheliaによって、世界が変わってくるだろう。我々もVMware Horizon Suiteを発表した。これらの新たなソリューションをぜひ評価していただきたい」とコメント。

 日本IBM GTS事業 ITS事業ソリューション・セールス部長の久利建樹氏は、「クラウドを使って仕事のやり方を大きく変えたことを実感するソリューションがWyseの製品。クラウドを表に出すことなく、アプリケーション、サーバ、ネットワークを組み合わせて活用してもらっている。銀行だけでなく、学校、病院、製造業などのほか、グローバル展開を行う企業への導入も促進されている。(デルのブランドは)気になるが、今後も強固なパートナーシップのもとにソリューションを提供する」と語った。

 三木社長も久利部長も、昨日突然Maner氏が訪問してきて基調講演での挨拶を頼んだものであり、2人が登壇することは参加者には知らされていなかった。

 また、アセンテックの佐藤直浩社長は「最初に会ったときには年商3000万ドルの企業だったが、いまは12億ドルの企業に成長している。Maner氏は紳士的であり、常に前向きな姿勢を持った経営をしている。技術力と情熱を持った企業である」などとした。

  • ヴィエムウェアジャパンの三木泰雄社長

  • 日本IBM GTS事業 ITS事業ソリューション・セールス部長の久利建樹氏

  • アセンテックの佐藤直浩社長

 Maner氏は最後に「日本でのパートナーシップに改めて感謝する」と語り、講演を終えた。

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