セブン銀行は勘定系基幹システムを「Microsoft SQL Server 2008」で刷新、2012年11月から稼働させている。日本マイクロソフトが3月5日に発表した。
セブン銀行は全国に1万7000台の現金自動預払機(ATM)を設置、個人口座100万件以上を管理している。同行は法人融資を展開しておらず、ATMをはじめとするシステムが止まる時は業務が即時に停止することを意味するため、システムには他行以上に神経を使っているとされる。
これまでの勘定系基幹システムは、「Windows Server 2003」と「Microsoft SQL Server 2000」をベースに開発された、日本ユニシスの勘定系パッケージ「BANKSTAR」であり、2006年から運用されている。100万件以上の個人口座の取引に加えて、法人向けとして売上金入金サービスなども提供している。
口座数や取引数の伸びに対して、それまでのシステムでは処理能力が限界に来ていたという。東日本大震災を契機に事業継続計画(BCP)の見直しが行内で進められるようになり、システムの更改を検討するようになっている。
システム更改のプロジェクトは2011年8月に開始している。ソフトウェアとハードウェアを新しくする以上、既存のプログラムが問題なく移行できるかどうか互換性を重視した。BANKSTAR以前からの利用も含めて11年間の運用実績からSQL Server 2008を選択している。サポート期間をはじめとするライフサイクルの長さも評価している。
マイグレーションを含む基幹系の更改としては構築期間自体が短いことに加えて、システムの切り替えを最小限の時間内で行う必要があった。そのため移行リハーサルやコンティジェンシープラン(緊急時対応計画)のテストを繰り返し実施している。総合テストには2012年7~10月の4カ月間をかけている。データベースに加えて、OSやミドルウェアも包括的に移行するため、既存機と移行機の処理の同一性などを重点に検証を重ねる必要もあった。
システムの移行は2012年11月中旬に実施。土曜と日曜をメインに4日間作業を展開している。サービス停止時間を極小化するシステム移行を重視。旧システムのBANKSTARで提供されていた平日用と休日用の2系統のサーバを切り替えながら24時間運用するという仕組みを利用した。ATMのサービスは5時間停止させたが、システムとしては常にオンラインの状態を保ちながらも、実質的には無停止のまま移行を完了させることができたと説明している。
移行後は、オンライン処理とバッチ処理の両方で処理時間が半分に短縮されているという。ハードウェアやOSもすべて同時に更改していることから、それらの相乗効果もあるが、大きな効率向上が果たされたとしている。
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