Shah氏は、Valuation Appのための資金調達とマーケティングは歩調を合わせて進めていく必要があることを理解していた。この2つは互いに効果があるからだ。また同氏は、ゲームアプリやソーシャルアプリの場合にはすぐに資金が得られるものの、財務アプリはそうでないため全力を傾けなければならないということも理解していた。
Shah氏は「公開できる画面イメージはなく、このアプリがどのようなものになるのかという理解を助けるための具体的なコンテンツもなかった。このため、こういった投資機会の可能性を垣間見せるキャンペーンを行うとともに、そのキャンペーンの信頼性を高めるために、5ドルで安いビデオを作成した」と語った。さらに「appbackrのようなプラットフォームには、個人が金銭的に大きなリスクを背負うことなく、自らの信じる機会に参画できるというメリットがある(私のキャンペーンで求められる最低額はたったの11ドルだった)」と述べた。これは「クラウドファンディング」と呼ばれているものだ。
また同氏は、SlideShareにプロモーションのためのスライドを公開し、Twitterのアカウントとともに、FacebookでValuation Appのファンページを開設した。その後、LinkedInに広告も掲載した。

さらにShah氏は、LinkedIn Groupsを利用して自らのコンセプトを宣伝するとともに、親しみのあるパペットを使ったビデオを別途制作することにした(このビデオは大当たりだった。社会学的な観点から見ると、潜在顧客に対して製品を印象付けるには、面白みのある、あるいは親しみを感じさせる代弁者の起用がしばしば効果的となる)。同氏はマーケティングのために、Tシャツやトートバッグを製作し、コインランドリーの店内など、近所にポスターを貼ったりもした。
Shah氏は資金を集め始め、コンセプトを多くの開発者たちと議論し、最終的にそのうちの1人とアプリを開発するという合意に達した。同氏は「われわれが最初に行ったのは、アプリの設計を完成させ、製品のFacebookページからフィードバックを得ることだった。従って、設計は「クラウドソース化」されていたと言えるだろう。設計は2週間で完了し、その成果がキャンペーンページにアップロードされると、資金の調達は加速されていった。また、appbackrの最高経営責任者(CEO)も自らかなりの額を投資してくれた!appbackrはその後、サイト上におけるShah氏のキャンペーンに基づいたケーススタディを作成し、「Valuation Appの支援によるLinkedInのプロファイルの充実」というタイトルの記事において考察も行っている。
結局、Shah氏は10日で1100ドルを、2カ月で合計3400ドルを集めた。なおValuation Appの支援者は、投資に対して54%の利益を得ることになっている。