企業の買収攻勢に出た米ヤフー--その狙いとは

Andrew Nusca (ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2013-04-05 07:30

 ご存知ない読者のために書いておくが、Marissa Mayer氏率いる米Yahooは最近、企業買収攻勢に出ており、多くの小規模新興企業を買収して情報の的確性を向上させようとしている。少なくともそれが目的のようだ。

 一番最近の買収は、モバイル向けニュースリーダーを開発するSummlyという新興企業だ。この企業の舵を握るのは、Yahooが存在しなかった時代を知らない若者だ。びっくりする話だ。


 (この他、同社が買収した企業として、モバイルユーザーが気に入ったものを管理できるようにするアプリを手がけるStampedや、ニュースのクリッピングサービスを提供するSnip.it、おすすめのレストランを教えてくれるアプリを手がけるAlike、書籍や映画、レストランを推薦するアプリを手がけるJybe、ビデオチャットプラットフォームを提供するOnTheAirが挙げられる。)

 では、大局的観点から見た同社の戦略はどのようなものなのだろうか?Sarah Kessler記者はFast Companyの記事で、この疑問に正面から取り組んでいる。同氏の結論は、モバイルはもちろんのことだが、実際のところ、すべての動きは「インタレストグラフ」の構築に関わっているというものだ。インタレストグラフを簡単に定義すると、さまざまな顧客が興味を抱いているあらゆる人物や場所、事物をマップにしたものとなる。

 (これは、人間関係という観点から、実際に人同士が築き上げているつながりをマップにした「ソーシャルグラフ」と対比することができる。ソーシャルグラフは、Facebookにおける友達の関係であると思えばよいだろう。)

 同氏は以下のように述べている。

 ユーザーの興味に基づいた結果を出すために、Yahooはユーザーのことを知る必要がある。(モバイル部門の責任者であるAdam) Cahan氏は「ユーザーが企業やその製品に時間を費やす時、彼らは実のところ、自らのもとに戻ってくる製品の声を生み出したり、変えたりしているのだ。彼らは自らの好むものごとを明確化しているわけだ(後略)」と解説している。

 これは循環構造となっている。深く関与するとパーソナライゼーションが進む。そして、パーソナライゼーションが進むと深く関与するようになるというわけだ。しかし、こういった循環をうまく機能させるには、Yahooが興味というものを定義しながら、ユーザーの好みにしっくり合うコンテンツを提供するよう注力しなければならない。これこそが一連の買収に潜んでいる共通の主題というわけである。

 これは興味深い考え方だ。

 Kessler氏が自らの記事で言及しなかった秘密の言葉がある。それは広告だ。Yahooは公のコメントで、顧客のパーソナライゼーションについて述べてきた。実のところこれは、検索に始まる同社のこれまでの戦略(大きな成功を収めているとはいえない)における柱だったのだ。

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