サーバで浸透しつつある仮想化は、ネットワークも変えつつある。データセンターでのネットワークの仮想化はSDN(Software Defined Network)としてベンダー各社がソリューション構築を進めているが、携帯電話事業者(キャリア、オペレーター)のネットワーク全体のクラウドプラットフォーム化に向けて準備を進めているのがEricssonだ。
CTOオフィスでクラウド戦略執行担当ディレクターを務めるMats Alendal氏
CTOの直轄組織でクラウド戦略執行担当ディレクターを務めるMats Alendal氏に、Ericssonの描くネットワーククラウド、SDN戦略について聞いた。「モバイルネットワークにとっては2Gから3Gに移行したのに匹敵する変化」とAlendal氏はそのインパクトを形容する。
Ericssonは、基地局をはじめとしたモバイル通信インフラを支える技術を主戦場とするベンダーだ。通信インフラ機器では最大手で、世界のモバイルトラフィックの約4割が同社の機器を介している。人数にして25億人相当のモバイル通信を支えているという。
25億人相当のモバイル通信を支えるEricsson
Ericssonがクラウド戦略を打ち出したのは2010年に入ってから。さまざまな機器がネットに対応するネットワーク社会構想(同社は2020年に500億台のデバイスがネットワークにつながるという予想を2010年にしている)を支える重要な柱の1つとなっている。
その戦略の下でオープンソースのクラウド基盤OpenStack、ネットワーク制御の標準化OpenFlowなどの団体に参加し、標準技術開発に参加している。それらの取り組みの成果として同社が2月に発表した構想が「Ericsson Cloud System」となる。
OpenStackを土台としたソリューションで、今後の同社のクラウド戦略の基盤となる。モバイルネットワーク全体をクラウド機能の配布・管理するプラットフォームに変えるという。今後主要なパートナー企業とパイロット実験を行い、2014年に商用化を目指す。
--各社がSDNソリューションの構築を進めています。Ericssonの計画は?
CTO自らが強くプッシュしており、Ericsson Cloud Evolutionとしてネットワークの発展系を打ち出した。SDNはこの1つとなるが、Ericssonでは「Service Provider SDN」として、データセンターにとどまらず、広域ネットワーク、無線アクセスネットワーク、コアネットワークなどを制御や管理の対象とする。SDNコントローラーを備えたOpenStackベースのクラウドだ。