IDC Japanは6月26日、国内“インテグレーテッドシステム”市場の予測を発表した。2017年の市場規模は、2012年の246億2000万円の5倍以上となる1387億1900万円になると予測している。
ここで言うインテグレーテッドシステムはいわゆる垂直統合型システム。IDCの定義では、サーバやストレージ、ネットワーク機器、システム管理ソフトウェアの組み合わせをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージとなっている。インテグレーテッドシステムはさらに、「インテグレーテッドプラットフォーム」と「インテグレーテッドインフラストラクチャ」に分類している。
インテグレーテッドプラットフォームは、インテグレーテッドシステムに加えて、ほかのソフトウェアを追加したり、追加したソフトウェアにシステムを最適化したりしている。追加されるソフトウェアにはアプリケーション開発用ソフトウェア、データベース、テストツールや統合ツールなどがある。
インテグレーテッドプラットフォームとしては「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」「Hitachi Unified Compute Platform with OpenMiddleware」「HP AppSystem」「IBM PureApplication System」「Oracle Exadata」「Oracle Exalogic」を挙げている。
後者のインテグレーテッドインフラストラクチャは、用途を限定せずに分散型のワークロードを広くサポートできるように構成されている。インテグレーテッドプラットフォームとの相異点として、特定のワークロード向けに最適化していないことを挙げた。
インテグレーテッドインフラストラクチャは、単独のベンダーから提供されることもあれば、複数のベンダーのパートナーシップで提供されることもある。複数ベンダーのパートナーシップで提供されるインテグレーテッドインフラストラクチャは、構成の事前検証や統合したシステムパッケージとしての提供からサポートまで、ベンダー間の高度かつシームレスな協調関係によって提供されるとしている。
インテグレーテッドインフラストラクチャとしては「Cisco & NetApp FlexPod」「Dell vStart」「FUJITSU Integrated System Cloud Ready Blocks」「Hitachi Unified Compute Platform Pro for VMware vSphere」「HP CloudSystem」「HP VirtualSystem」「IBM PureFlex System」「NEC Solution Platforms」「VCE Vblock」を挙げている。
国内インテグレーテッドシステム市場の2012~2017年の年平均成長率(CAGR)は41.3%を予測。システムを構成する要素別の比率は2017年に、サーバが37.5%、ストレージが22.3%、ネットワーク機器が2.9%、ソフトウェアが37.3%としている。2012~2017年のCAGRで見ると、最も高いのはソフトウェアの45.4%であり、次にストレージの42.6%、ネットワーク機器が40.9%、サーバが37.3%となっている。
インテグレーテッドシステムは4月時点で、NECや富士通、HP、Dell、IBM、日立製作所などから20種類以上の製品が提供されている。企業の共通IT基盤向けプラットフォームとしての導入が期待されており、導入の容易性や導入工程の短縮、システムの安定稼働、ワンストップサービスといったメリットがあるという。
ユーザー調査(回答数307、複数回答)からは、インテグレーテッドシステムに移行する上での課題として「ITスタッフのスキル不足」「コスト/投資対効果(ROI)改善効果が不透明」の2項目を指摘する回答者が順に52.1%、46.6%と突出して多いという結果になった。
製品戦略や顧客戦略との関連でインテグレーテッドシステムについて議論する時に、ベンダーロックインをキーワードして取り上げることがある。だが、ユーザー調査の結果を見る限りでは、ベンダーロックインをインテグレーテッドシステム導入の課題(阻害要因)としてとらえている回答者は14.3%と、必ずしも多くはない状況にあると表現している。
IDC Japanの福冨里志氏(サーバーリサーチマネージャー)は「技術的な要因がインテグレーテッドシステム導入の直接的阻害要因となることはない」と説明。以下のように提言した。
「IT部門の組織やスタッフ、そしてプロセスを変えることが最大の阻害要因になる可能性が高い。ベンダーはこれらの要因を解消するために、コスト削減効果やROI分析を通して、インテグレーテッドシステムの提供価値を訴求すべきである」