サイボウズは、PaaS「kintone」のアップデート版の提供を7月14日から始めた。2012年に同社はクラウド戦略を発表し、IaaSの「cybozu.com」、SaaSで提供する「Garoon」と「サイボウズOffice」といったグループウェアなどに加え、個別の業務を独自アプリケーションとして開発できるPaaSのkintoneを発表した。
今回、kintoneにセキュアな環境で外部参加者を招待できる新機能を提供し、JavaScript読み込み機能を追加、技術者を支援するサイトも公開、開発者を支援する機能を付加した。
代表取締役社長の青野慶久氏は「kintoneは業務アプリ開発ツールと称されることが多いが、われわれは全く新しい“チームワークプラットフォーム”というジャンルの製品だと考える。今回、1年半販売していく中で、求められる機能をアップデート版として提供する」とアップデートの狙いを説明している。
コミュニケーションを含めたチームワークの重要性
青野氏は「今回、製品のアップデートだけでなく、クラウドへのシフト以降、当社のビジネスがどのように変化しているのかをお話ししたい」とクラウド事業へのシフト以降のビジネスの現状を説明した。
サイボウズでは1年半前に、ビジネスを全面的にクラウドにシフトすることを発表。既存のグループウェアをクラウドで提供するとともに、グループウェア単体だけでは対応できない業務に対応するプラットフォームとしてkintoneの提供を始めた。
サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏
「cybozu.comへの投資は累積で35億円強となったが、インフラをすべて日本人が開発運用し、バックアップも含めて国内にデータセンターを置く信頼性の高いクラウド基盤を提供している。5ユーザーでも閉じられた顧客専用サブドメイン空間を用意し、論理的にデータが混じらない環境を作っている。その結果、A社のサービスがダウンしても、B社のサービスはダウンしないといった障害に強い体制となった。毎日無停止でバックアップを実施し、14日分のデータを常に保管しているため、有料ではあるが、ユーザー企業ごとにリストアできるクラウドという特色も持っている」(青野氏)
cybozu.comの有料契約者数は4000社を突破。「今でも月間で200~300社のペースで増加しており、国内最大手のクラウド事業者に年内にも追いつくことが可能となったのではないか」という。
kintoneは6月末の有料契約者数が700社。当初は中小企業ユーザーが多かった。近年は大企業の利用が増加しているが、部門単位での導入がメインで、最大規模のユーザーで1000ユーザー程度。最近では社内だけでなく、社外を巻き込んだ利用事例や基幹システムとの連携など、本格的な業務での利用も増えてきた。
「そもそも何のために業務アプリケーションを作るのか? コミュニケーションを含めたチームワークのためではないのか? これは16年間、グループウェアを作ったから知っている結論でもある。そこでkintoneではデータベース、ワークフロー、コミュニケーションという3つの機能を用意し、プログラミングレスで早期にシステムの構築、改善が行えるものとした」(青野氏)
利用例としては、管理部門では契約書管理や研修教育管理、営業マーケティング部門では営業案件管理やタスク管理、工場や店舗ではクレーム管理、不具合リスト、拠点ではプロジェクト管理、FAQなどがある。