アクセンチュア、海外進出目指す日本企業の支援を強化--伸縮可能な業務基盤が必要

大川淳

2013-08-01 15:17

 アクセンチュアは7月31日、海外進出を目指す日本企業向けにコンサルティングを中心に海外進出を支援するサービスを強化すると発表した。同社の世界的ネットワークを活用する。

海外からの収益、期待通りだったのは12%

 経済同友会の調査の中で「日本企業が今後10年間競争力を保つための課題」に対し、2012年に1位を獲得したのは「グローバル化への対応」。2008年の調査では「イノベーション」が首位であり、「グローバル化への対応」は5位だった。アクセンチュアの今回の強化では、こうした日本企業が抱える課題があるためだ。

 アクセンチュアは2012年7月にアジアの企業を対象にグローバル化に関する調査を実施。日中韓、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インドに基盤をおく企業の249人の経営幹部を聴取し、分析した。日本では、自社の過去3年間における海外収益や利益が十分期待通りだったと考える企業は12%にとどまっている。韓国、ASEANは23%、インドは36%、中華圏は37%であり、平均は28%。日本が突出して低いことが分かる。


アクセンチュア 執行役員兼経営コンサルティング本部 統括本部長 マネジング・ディレクター Jeffrey Beg氏

 アクセンチュア 執行役員兼経営コンサルティング本部 統括本部長 マネジング・ディレクター Jeffrey Beg氏は調査結果を踏まえて「日本企業は過去20~30年にわたり、自動車や家電、産業機器などの企業が積極的に海外に進出し、成功を収めた。これがいわば第一波だ。しかし、世界市場でビジネス展開する多国籍企業は1990年に3万5000社だったが、2010年には10万4000社に増えている。新興国を拠点とする多国籍企業の比率はこの間、12%から30%に増えており、世界市場は複雑化している」と指摘する。

日本企業が海外で成長するための4つのカギ

 同社はこの調査を通じ、日本企業が成長するための以下の4つをカギとして挙げた。

1.海外展開のための明確な戦略の構築
2.競争市場で確実に成功するための差別化の実現
3.伸縮可能なグローバルオペレーティング基盤の構築
4.成長のための人材、リーダーシップとカルチャーの導入

 “海外展開のための明確な戦略の構築”では、ターゲットとすべき市場、企業の成長に必要な条件として重視すべき市場はどこかなど、仮説検証型の戦略ロードマップを策定、戦略の明確化が必要だとする。これは「日本企業がグローバル市場への参入手段として、早期参入しやすい、M&Aを多用するようになったため、異なる企業文化の融合や未知の顧客の属性を把握することなどが課題になる」(同社 経営コンサルティング本部 セールス&マーケティング グループ統括 マネジング・ディレクター 石川雅崇氏)からだという。

 石川氏は成功例として、空調設備のダイキン工業の取り組みを挙げた。ダイキンは、企業戦略に沿ったグローバル展開戦略を選択、買収でグローバルシェアを拡大するとともに、買収した企業の保有する業務プロセスをベースにグローバルオペレーションの改善を図ったという。

 “競争市場で確実に成功するための差別化の実現”では、市場を育成や拡大を図り、顧客の心理を理解し変化に機敏に対応して、ビジネスモデルを絶えず変化させていくことが重要だとしている。というのも、市場が成熟するのに伴い、顧客が求める価値も変動していくからだという。

 当初は、機能や利便性、廉価などが重視される「機能訴求モデル」であり、次の段階では、製品を所有すること自体が価値となる「ブランド訴求モデル」。その次には、環境に優しいといった、なぜその商品を買うのかということが価値と考える「ストーリー訴求型」となる。

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