続けて、「IT側だけががんばるのでなく、事業側も、もう少しITを学ぶべきだ。事業側は開発を進めるにあたり、要件定義をギリギリまでを引き延ばし、システム構築が下手で、遅いなどと、IT部門を批判することさえある。仮に、フロント側が牛乳だとすると、われわれは小麦粉かもしれない。はじめはダマになるかもしれないが、粘度の高い小麦粉になって、いずれは、良好なホワイトソースになれればいい」(小澤氏)とした。
変革のカギを握るのはBusiness IT Architectだ
BI組織の中期計画
同社は改革の途上にあり、事業部門とベンダーを橋渡しする「BI/BITA」がある、という構図があるが、同社の会計年度2014年度から16年度までの中期計画では、BI部門に、BI、BITAに加え、サイトプロデュース機能(サイプロ)に特化した組織を付加。この部門の、いわばIT機能部分をやや薄め、この部分は、IT部門やパートナーベンダーに任せる比率を高めて事業部門への関与の度合いを上昇させる考えだ。
最終的には、BIは統括の任務をより強くする形となり、事業部門とBITAの融合を推進し、サイトプロデュース機能は、商品企画本部というような役割に進化させる。「各々サイロ化しやすい可能性があっても、共通基盤があれば、ガバナンスが効くため、会社として、さまざまな資産を標準化できる」(小澤氏)。
これらのような変革を進めるためには、そのための土壌を醸成していく必要がある。一方で「IT投資は景気変動に左右されやすい」(小澤氏)傾向がある。そこで「経済情勢が苦しい時期でも、一定のIT投資は継続していきたい。逆に、好景気になっても過剰な投資は避けることで、常に安定したIT投資を継続していく」ことが基本姿勢だ。
BITAは着実に成長しているという。社内でBITAの取り組みは認められ、成果が高い取り組みを競う社内コンペでも最終選考まで残るようになった。「これまで、BITAは、ビジネス側の言うことに従っていたるだけで、プロジェクトが遅れ、失敗すると叱られてばかりの存在だった。双方のコミュニケーションが重要なのであり、ビジネスに貢献できるITはそんなところから生まれる。逃げるのではなくフロント側に進もうと、この3年言い続けてきた成果が徐々に出ている」(小澤氏)とした。