ソニーの最重要課題もテレビ事業の黒字化。そして、テレビ事業を含むエレクトロニクス事業の復活が最大のテーマ。そうした中でエレクトロニクス5分野合計で、4~6月期は134億円の営業利益を確保し、2011年度第1四半期以来の黒字を計上した。
ソニー 代表執行役 エグゼクティブバイスプレジデント(EXP) 最高財務責任者(CFO)の加藤優氏は「2013年度は、何をおいてもエレクトロニクス事業の復活、黒字化が最大の課題。第1四半期の業績は、エレクトロニクス事業の行く末を占う上では大変重要なものだったが、その中で黒字を計上し、営業利益も想定以上のものとなった。まずまずの結果を出せた」と総括する。

ソニー 代表執行役 EVP CFO 加藤優氏
しかし、今回のエレクトロニクス5分野合計の黒字化には、為替影響が190億円含まれており、これがなければ黒字化を達成できなかったとの見方もできる。手放しで評価できる状態ではないといえよう。
2010年度第1四半期以来、12四半期ぶりの黒字を達成。「4K対応テレビをはじめとする高付加価値商品による単価アップ、固定費削減効果の貢献、材料費の改善、パネル調達の工夫などにより、大幅に損益を改善した」としたが、やはりここでも「為替が好影響となった」と円安効果は否めない。
実際、液晶テレビの販売台数は前年同期比50万台減の310万台となり、年間販売台数計画も、100万台減の1500万台と下方修正した。テレビ事業は7~9月期以降に中南米や中東などの一部新興国市場の動向を慎重にみていることから、年間出荷台数を下方修正したという。
ソニーでは「第1四半期は円安の追い風があったのは事実。これをモメンタムに変えて、エレクトロニクス事業の通期黒字化をきっちりと達成したい」(加藤氏)と意気込む。
個人向け製品が課題となる東芝
東芝は、売上高が前年同期比9.6%増の1兆3905億円、営業利益は同12.2%増の243億円、税引き前純利益は前年の146億円の赤字から174億円の黒字に転換。当期純利益も121億円の赤字から53億円の黒字へと転換した。
メモリが価格、物量ともに好調に推移したことで、電子デバイスが大幅増収。さらに、海外原子力や太陽光発電などが順調な社会インフラの増収や家庭電器が増収となったことが貢献した。また、為替決算差損益の改善もあり、最終黒字転換を果たしている。
だが、東芝でもテレビ事業の改善は急務だ。
テレビを含むデジタルプロダクツ事業は、売上高が前年同期比1%減の3345億円、営業損失は130億円悪化の163億円の赤字。そのうち、テレビ事業の売上高は同22%減の493億円となった。

東芝 代表執行役社長 田中久雄氏
「液晶テレビは国内販売が回復傾向にあり、事業構造改革の効果などにより改善したが、欧米を中心に販売が減少。海外の悪化が影響した」(東芝 代表執行役副社長 久保誠氏)という。
PCも売上高が同11%減の1555億円。4~6月期は赤字となった。
8月7日に発表した中期経営計画の中で東芝社長の田中久雄氏は「テレビ事業は2年連続で500億円規模の赤字となり、4~6月期業績でも800億円規模の赤字。PC事業も営業赤字を計上することになった。デジタルプロダクツ事業の再編は急務である」との認識を示した。
7月にデジタルプロダクツ事業の収益改善、事業体質強化を目的とした、テレビ事業とPC事業の構造改革を発表したことにも触れながら、「デジタルプロダクツ事業の2013年度下期(2013年10月~2014年3月)の黒字化は必ず達成する。だが、この構造改革だけでは、下期の黒字化には、まだまだ不十分な内容である。さらなる固定費の削減、もう一段踏み込んださまざまな施策が必要であり、生産や国内外の販売体制の抜本的見直しを含め、聖域を設けず、大胆な構造改革を実施する予定」(田中氏)とする。
デジタルプロダクツ事業の2013年度下期黒字化に向けて、新興国市場の開拓、BtoB事業へのシフト、高付加価値商品のグローバル展開などを柱に売り上げと利益の拡大を目指すとともに、経営のスリム化とコスト削減を図る考えだ。
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