SaaS型ERP「SAP Business ByDesign」が日本でも--2層アプローチを提案

齋藤公二 (インサイト)

2013-08-28 13:53

 SAPジャパンは8月27日、統合基幹業務システム(ERP)をSaaSで利用できる「SAP Business ByDesign」(日本語版)を発表した。会計管理、人事管理、購買管理、生産管理、販売管理など35の業務プロセスに対応し、1ユーザー月額149USドル(国内提供価格は未定)のサブスクリプションですべての機能を利用できる。11月から提供を開始する。

オンプレミスとクラウドを連携させる「2層ERPアプローチ」を推進

 Business ByDesignは、SAPが2007年に発表したクラウド型ERP。すでにグローバルで16カ国に展開、1000社以上で導入された実績を持つ。バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長の馬場渉氏は「2007年の発表当時から国内展開はしないのかという声を頂いており、投入するタイミングを図っていた。現在の企業が抱える課題やニーズを踏まえた適切なタイミングで投入できた」と背景を説明した。


SAPジャパン バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長 馬場渉氏

 馬場氏によると、現在の企業が抱える課題の1つに、システムのグローバル展開をどう図るかという点がある。グローバルで1つのインスタンス(システム)を利用して標準化、シンプル化、スピード化を図る「グローバルインスタンス化」が解決策の1つだ。

 だが、実際には、国や拠点ごとに個別のERPを利用せざるをえなかったり、業務プロセスの標準化やシンプル化が進まなかったりと、多くの企業で道半ばだった。そこで、国内での販売戦略としては「Business ByDesignをそうした企業がグローバルインスタンス化を実現していくための新しい選択肢として提案する」(馬場氏)という。

 具体的には、本社や主要な事業所に関しては、ERPパッケージの「SAP ERP」やビジネスアプリケーション群「Business Suite」を使ってオンプレミス環境やプライベートクラウド環境でのシングルインスタンス化を実現する。その一方で、新規事業や国内外の小規模拠点などについては、Business ByDesignを使って互いを同期する「2層ERPアプローチ」の採用を提案する。

 このシングルインスタンス化+2層アプローチにより、グローバルレベルでのガバナンスの確立を支援していく。ターゲットとする企業も当初は、中堅中小企業というよりグローバル展開を図る比較的規模の大きい企業が対象となる。


SAPジャパン IVE &ソリューション本部 アプリケーションエンジニアリング部 経営管理ソリューションズ ダイレクター 佐々木直人氏

「全社基幹システムのクラウド移行」までを視野

 Business ByDesignの特徴については、IVE&ソリューション本部 アプリケーションエンジニアリング部 ダイレクターの佐々木直人氏がデモを交えて説明した。佐々木氏は製品の特徴を、ユーザービリティ、アナリティクス、エクステンション、インテグレーションという4つの観点から解説した。

 ユーザービリティについては、エンドユーザーが日常的に利用する画面を簡単にカスタマイズできる操作性の良さ、使い勝手の良さを実現したという。

 たとえば、35の業務プロセスは画面上部のバーに横並びで表示されるが、マウスを使ってブラウザのタブを切り替えるように移動することができる。表示する項目についても、主要機能を非表示にできるほか、受発注明細などの画面上で出荷先や請求先を表示しないといった操作をエンドユーザー自身ができる。新規項目の追加も可能だ。

  • 35の業務プロセスは画面上部のバーに横並びで表示される

  • 受発注明細などの画面上で出荷先や請求先を表示しないといった操作をエンドユーザー自身ができる

  • 新規項目の追加も可能だ

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