日本マイクロソフトは9月5日、2014年4月9日の「Windows XP」と「Office 2003」のサポート終了に向け、中小企業向け移行支援策の強化を発表した。
この4月に、1年後のサポート終了を見据えた移行支援策を発表し、その時点で全PCの40%にあたる1400万台残っていたWindows XP搭載機の割合が、9月までに30%にあたる1050万台まで減少したと分析している。
日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏
だが、依然として「予算が間に合わない」「経営者がサポート期限切れのリスクを認識してくれない」に加えて、互換性の問題などから移行が進まない企業が、特に中堅中小企業に多く残っていることから、新たな移行支援策を発表した。「2014年4月までには残る割合を1桁台にまで減らしていきたい」(日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏)という目標を掲げる。
経営層がリスクを理解してくれない
日本マイクロソフトでは4月にサポート終了切れを大々的に発表以降、法人が利用するWindows XP搭載機が1400万台から1050万台に減少。PC販売台数は2012年と比較して月間13%増、Windows XPからのアップグレードライセンス販売が前年比で76%増となったと分析している。
移行を支援するパートナー企業でも、大塚商会が開設したWindows XP移行サイトからの問い合わせは開設前に比べて30倍となり、リコージャパンの販売するWindows XPからの移行でのPC販売台数は40%増となった。
移行が遅れていると指摘された、自治体や教育市場での対応状況については「1700ある自治体、教育委員会に聞き取り調査している最中で、4月までに移行予定の自治体が69%、教育委員会が71%と、途中段階ではあるが順調に推移している」(樋口氏)という。
日本マイクロソフト 執行役 ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャー 高橋明宏氏
その一方で「予算化していなかったためにサポート終了期間内での移行が難しいという声や、決裁権をもった経営層がリスクを理解してくれないために移行が進まない、利用しているアプリケーションなどの互換性の対応方法がわからないといったことが理由になって移行が進まないという声が上がっている」(日本マイクロソフト 執行役 ゼネラルビジネス ゼネラルマネージャー 高橋明宏氏)という実情があることも説明した。
この回避策として、2014年3月末までの期間限定で500社を対象にした「PC購入支援キャンペーン」を実施する。新規PCもしくは再生PCとOffice 365をセットに、マイクロソフト側がリース金利を負担して来期予算で新しいPCへの移行を推進していく。新規PCや保有PCからWindows 8 ProとOffice 365のライセンスを同時購入した場合のライセンス価格を20%割引する「移行促進キャンペーン」を実施する。
9月半ばからはマイクロソフトのウェブサイトから移行支援ツールとして、(1)サポート終了のリスクを上司にわかりやすく説明するための説明資料や社内稟議テンプレートなどを提供、(2)移行ポイントをわかりやすく記載した10種類のチラシ集の提供、(3)互換性が対応しているのかの不安などに関する数種類の説明資料を提供する。
「今回のキャンペーンでは中堅中小企業向け施策を強化した。最新のWindows 8.1は企業にとって使いやすい環境を提供しており、セットでOffice 365を利用する最新環境の導入を推進する。こうした施策を展開することで、最終的にサポート終了までにWindows XP搭載機の割合を10%未満、1桁台に抑えたい」(樋口氏)
海外でニュースになっていた、有償でMicrosoftがセキュリティパッチを提供し続けるということについては「大企業向けに同様のサービスは実施しているが、一般向けに同様のサービスを提供する予定は現状ではない。セキュリティ面から見れば、万が一セキュリティパッチが継続的に提供されたとしても、12年前のOSであるWindows XPの脆弱性は否めない。リスクを減らすために早期移行が望ましい」(高橋氏)と現時点では予定は全くないとした。