日本オラクルは10月15日、ストレージ新製品「Oracle ZFS Storage ZS3」シリーズ2機種の発売を開始した。オラクルのデータベース製品に最適化した、独自のストレージ機能を搭載しており、重複排除や自動化、圧縮などの機能を向上させたという。アナリティクスやビッグデータの処理、サプライチェーンの最適化、経営財務指標の迅速な収集評価などの用途を想定している。
中規模環境向けの「Oracle ZFS Storage ZS3-2」は、最大768Tバイトまで拡張が可能。プロセッサは、8コアXeon(2.1GHz)を4個搭載。DRAMキャッシュは512Gバイト。読み取りフラッシュキャッシュは最大12.8Tバイト。税別最小構成価格は359万3910円。
Oracle ZFS Storage ZS3-2
大規模環境向けの「Oracle ZFS Storage ZS3-4」は、プロセッサは10コアXeonプロセッサ(2.4GHz)を8個搭載。DRAMキャッシュは2Tバイトだ。読み取りフラッシュキャッシュは最大12.8Tバイト。容量は最大3.5Pバイトまで拡張可能。税別最小構成価格は869万8266円。これら2製品は、デュアルコントローラのクラスタ構成に対応している。
ZFS Storage ZS3では「Hybrid Storage Pool」の機能が強化された。ソリッドステートドライブ(SSD)をファイルシステムの一時記憶領域として扱うメモリ内のデータ重複を削減することで、DRAM上のキャッシュの領域効率が4倍向上するという。並列アクセス処理による書き込み性能を強化し、低遅延で一貫した応答時間を実現したと説明する。Hybrid Storage Poolは、フラッシュによる最適化やマルチコアへの対応などの機能強化を続けており、最新版では応答性能を従来よりも2倍向上させたとしている。
米Orale ソフトウェア開発担当バイスプレジデント Scott Tracy氏
日本オラクル 執行役員 システム事業統括 飯尾光國氏
グリー 取締役 執行役員常務 CTO 藤本真樹氏
新機能としては「Oracle Intelligent Storage Protocol(OISP)」も追加された。同社のデータベース「Oracle Database 12c」とZFS Storage ZS3との間を仲介する役割を担い、両者がメタデータをやり取りすることでチューニングを自動化している。手作業と比較して最大65%時間を短縮できるという。
「Heat Map」と「Automatic Data Optimization(自動データ最適化)」も注目される新機能だ。新しい、古いなどのデータ属性から圧縮レベルを変え、データの全ライフサイクルを通じて、高いパフォーマンスを維持し、ストレージ容量を節約するという。たとえば、生成から30日未満のデータは圧縮しないこともある一方、過去数年で蓄積されたデータは、最大級の圧縮をするといった設定が可能だ。
データ圧縮技術「Hybrid Columnar Compression」は、Oracle DBの容量を10分の1~50分の1に圧縮し、検索速度を2~5倍高速化できるという。米Orale ソフトウェア開発担当バイスプレジデント Scott Tracy氏は「小売業のデータウェアハウスの例では、ストレージを94%削減、検索時間を8分の1にした」とそのメリットを説明している。
新たに搭載する「SMP(Symmetric Multiprocessing:対称型マルチプロセッシング)オペレーティング・システム」は、1つのシステムで32Gバイトを超える持続帯域幅を提供しており、ZFS Storage ZS3シリーズは1システムあたり数千台規模の仮想マシンをサポートできる。
日本オラクル 執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏は「当社の2014会計年度(2013年6月~2014年5月)第1四半期で、ハード製品として最も成長率が高かったのはZFS Storageであり、対前年比150%だった。今後は、ミドルウェアやアプリケーションにも最適化していきたい」と話し、一層の販売拡大への意欲を示した。
ZFS Storageを導入しているグリーの取締役 執行役員常務 最高技術責任者(CTO) 藤本真樹氏は、ZFS Storageを選択した理由は「ZFSはファイルシステムとしてトップクラスだ。重複排除で容量空間を効率的に活用できる。メモリ、SSD、HDDを透過的に利用することができる。ハードとしての安定性があることも重要」と強調した。