エンタープライズの”モバイルファースト”を支援する--SAPにモバイル戦略を聞く

末岡洋子

2013-11-06 08:00

 独SAPがエンタープライズの「モバイルファースト」をけん引しようとしている。10月後半に米ラスベガスで開催した「SAP TechEd 2013」で最新のモバイルプラットフォーム「SMP 3.0」を発表、Sybase、Sycloとこれまでこの分野強化のために買収した技術を統合した。

 TechEdで、モバイルソリューション担当シニアバイスプレジデントのNick Brown氏にSMP 3.0、エンタープライズのモバイル動向などについて話を聞いた。

 --最新のSMPでSybase、Sycloの買収技術が完全統合し、「SMP 3.0」を発表しました。強化点は何ですか?

モバイルソリューション担当シニアバイスプレジデントのNick Brown氏
モバイルソリューション担当シニアバイスプレジデントのNick Brown氏

Brown Syclo、Sybase Unwired Platform(SUP)、Sybase Mobiliserなどの買収した技術を単一の基盤に統合した。Sycloはメタデータ主導のサービス・資産管理ソリューション、SUPはモバイルアプリプラットフォーム、MobiliserはBtoCエンジンでモバイルバンキング、モバイルコマースなどのソリューションを支援する技術だ。これに(統合アプリケーションプラットフォームの)SAP NetWeaver Gatewayが加わる。

 これまで資産管理ソリューションならSyclo、オフライン機能のあるカスタムのセールスモバイルアプリならSUP、モバイルを利用したBtoCならMobiliser……とバラバラで、3つの間で機能を共有できなかったが、SMP 3.0では機能や定義などの共有が可能になる。

 例えば、発注管理アプリを構築し、従業員、取引先、コンシューマー向けに実装できる。アプリの一部機能をオフラインにするなどのことも可能だ。技術的には、OSGiバンドル、RestfulサービスではOData、とすべてのスタックでオープンな標準を採用したことで可能になった。

 SMP 3.0では、オープン化も特徴だ。Android、iOS、Windows Phoneをサポートし、これら環境向けに最適化を図ると同時に、オープンな標準ベースのインターフェースを持つ。

 これを利用して、顧客はプラットフォーム上にカスタムアプリケーションを構築できる。サードパーティーの開発ツールを利用できる“BYOT(Bring Your Own Tool)”と呼んでいる。顧客のイノベーションを加速させるというSAPの戦略に基づくものだ。SAP Business Partnerや顧客は、リピート可能、再利用可能なアプリを構築し、自分たちの顧客に提供できる。

 このほか、ユーザーエクスペリエンス、HTML5も強化した。特にHTML5では、「Apache Cordova(PhoneGap)」コンテナを加えた。これにより、エンタープライズプッシュ、オフライン、セキュリティなどの機能を活用できる。このように新機能を多数盛り込むと同時に、既存アプリもサポートする。

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