オラクル、マーケティングを自動化する「Eloqua」--営業との連携が重要

齋藤公二 (インサイト)

2013-11-26 17:58

 日本オラクルは11月25日、マーケティングの自動化を目的としたクラウドサービス「Oracle Eloqua」の国内提供を開始した。2012年12月に買収したサービスで、営業支援(SFA)アプリケーションなどと連携させながらキャンペーン作成、リード管理、コンタクト管理、マーケティング効果の測定といったマーケティング業務を一貫して展開できるのが特徴。価格は、コンタクト数とエディションによって異なり、エントリーエディションで1万コンタクトの場合で月20万円から。

 日本オラクルの副社長 執行役員 アプリケーション事業統括の椎木茂氏は、「マーケティングと営業は両輪。これまでは営業を重視した投資が行われてきたが、今後はマーケティングにシフトした投資が見込まれる。Eloquaは、新しいマーケティングに求められる機能を提供するもの」とEloquaの位置付けを説明した。

椎木茂氏
日本オラクル 副社長 執行役員 アプリケーション事業統括 椎木茂氏
小島崇嗣氏
日本オラクル アプリケーション事業統括 セールスクラウド営業本部本部長 小島崇嗣氏

 これからのマーケティングに求められるのは、海外などの新市場での顧客開拓、顧客との中長期的な関係作り、顧客とのコミュニケーションの在り方を変えること、顧客体験価値(Customer Experience:CX)の向上の4つだという。Eloquaでは、これらについて、キャンペーン管理、リード管理、コンタクト管理、マーケティング効果測定といった4つの機能で対応するという。

 日本オラクル アプリケーション事業統括 セールスクラウド営業本部本部長 小島崇嗣氏は、今日のマーケティング業務の実情について、ウェブサイトのログ解析やソーシャルメディアの炎上対策、利用するツールの多様化など、マーケティング業務が複雑で専門性が高くなっていると指摘。その上で「マーケティング部門はセミナーやイベントの実施に終始しがちだ。キャンペーンで発掘したリードの内クローズできているものは4%にすぎないとの調査もある。マーケティングが発掘したリードを育てて、数年後に営業がフォローできるような仕組みが必要だ」と説明した。

 こうした購入準備の整っていない見込顧客に対して、情報提供など継続的につながりを持つことで顧客に育てていくプロセスは「リードナーチャリング(Lead Nurturng)」と呼ばれる。リードナーチャリングを行うことで、見込顧客の属性や行動特性をもとにニーズを予測したり、ブランドに対する強いロイヤリティを醸成したりといったことができる。そして「リードナーチャリングを支えるものがマーケティングオートメーション」なのだという。

 Eloquaの具体的な機能のポイントとして、キャンペーン管理に関連するものでは、キャンペーンフローをマウスを使ってGUIベースで設計できる点が挙げられる。メールやモバイル、ソーシャルと連携しながらナーチャリングのプロセスも定義できる。

Eloquaの適用範囲 Eloquaの適用範囲
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Eloquaの主な導入企業と導入効果 Eloquaの主な導入企業と導入効果
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スコアリングのデモ画面 スコアリングのデモ画面
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 リード管理やコンタクト管理については、オンラインの行動履歴を自動的に取得し、属性データやオフラインのキャンペーン結果を顧客情報として統合的に管理できる点がある。収集したデータをスコアリングしてセグメント別にも管理できる。

 スコアリングでは、業種や規模、役職、部署アンケート回答などの“プロファイル”と、メール開封の有無、資料ダウンロードの有無、イベント参加の有無などの“行動”を点数化し、それぞれを軸にしたスコアマップを作成する。

 マーケティングの際に、例えば「プロファイルと行動の点数がともに高い顧客に対しては、競合との差別化をアピールする施策」「プロファイルと行動の点数が低い場合は、スペックと価格表などを送って情報を周知する施策」といった使い方をするという。

 このほか、マーケティング効果測定については、ウェブトラフィックの分析やキャンペーンの投資対効果(ROI)分析、ソーシャルメディア分析などのメニューを用意する。

 「スコアマップをベースに最適化なターゲットに適切なキャンペーンを展開する。また、営業がフォローすべきタイミングで必要な情報を届ける。これによりマーケティングと営業の連携を実現する」(小島氏)

 導入効果として、ビジネスにつながったリードの割合がサービス導入前は6.6%だったものが、導入後に13.8%と約2倍に向上したケースがあるという。たとえば、Polycomではリード生成数が82%増加し、売り上げは34%増加。Siemensでは1リードあたりのコストを約90%削減したという。「商品の単価が高かったり、単価は低くても継続的に購入される商品を取り扱う企業では、ナーチャリングツールと相性がいい」(小島氏)

 発表会には、Eloquaのパートナー企業として、ヴァーティカル ジャパン、シンフォニーマーケティング、Nexal、マーケットワン・ジャパンの代表者が参加し、マーケティング支援やアウトソーシング、コンサルティングなど、それぞれが手がけるサービスや実績などを紹介した。

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