IT部門であれば、自社のサイトの行動履歴データを蓄積しているでしょう。まずは自社のデータの現状把握を行うことが重要です。その上で、各部門に関係なくすべてのデータにアクセスできる必要があります。また、分析するのに適したデータが蓄積されていない場合は、必要なデータを蓄積できる仕組みを構築させることが最優先です。
自社のデータについての所在を把握したら、まずは「基本的な集計」を実施しましょう。自社のサービスの日々の売り上げ、客数、会員の属性などを定量的に把握します。この点において、意外な発見は少ないかもしれませんが、データは日々のビジネスの蓄積であるため、入力データがすべて適切ではない可能性があります。データの異常値や外れ値と呼ばれるものが混在してくるため、まずはそれらを除去すべく、特定をすることが大切です。
実際にデータ分析に関する手順などは連載の中で触れていきたいと思います。

多変量解析の手順(ALBERT提供)
データドリブンな意思決定
データによる証拠(エビデンス)に基づいてビジネスの意思決定する事をデータドリブンと言いますが、適切な分析の後にはこの考え方が必要です。分析結果に基づく判断力でも触れましたが、分析の結果、自社のビジネスの方向性が誤っていた場合に、その方向転換が適切にできるのかという点です。
データでを使わない場合、「勘と経験と度胸」の頭文字を取った「KKD」での意思決定をしているケースが多く見受けられます。長年そのビジネスに関わっているベテラン担当者の直感当たっているケースも多いのですが、環境や環境の変化を受け入れることができず、どんどん悪化してしまうことも少なくありません。
また、多くのマーケターに多いのが、過去のビジネス経験から立てた仮説を用いてペルソナを作成し、ずっとそのペルソナを追いかけ続けるケースです。当初、そのような仮説に基づいたペルソナを設定することはよいのですが、時間が経つにつれ、想定されるユーザーが多様になり、ある時点ではまったく異なる顧客が多数を占めているにも関わらず、当初のペルソナを追いかけ続けてしまうケースがあります。こういったことを防ぐためにも定期的に自社の顧客を分析し、モニタリングするべきでしょう。
- 伊藤徹郎
- 金融機関で営業からモバイル開発までの幅広く経験。その後、ALBERTにデータ分析者として参画。レコメンデーションのアルゴリズム開発やECサイト、小売りなどのCRM分析、広告分析など、幅広いデータをあつかう。Tokyo.Rなどの社外コミュニティでも活動中。
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