JALの再建--社員の意識改革を支えたグループウェア活用法 - (page 4)

岡田靖 怒賀新也 (編集部)

2014-03-06 07:30

他システムとも組み合わせた情報共有の活用方法

 業務上の情報共有にも、以前よりもポータルが活用されるようになった。

 例えば運航部門や整備部門などの業務には膨大な量のマニュアルが必要で、しかも頻繁に改訂される。メーカーが機材の仕様を一部変更したり、空港の設備が更新されたり、各国の航空規制が変わるなど、航空業界では世界中で小さな変更が繰り返されているのだ。こうしたマニュアル類は別システムで管理しているが、更新情報を周知するためINSUITEにもリンクをつけて告知しているという。

 IT化は航空業界の業務も大きく変えてきた。以前は、緊急度の高い内容でない限り、フライトに関する報告などは乗務員が帰国して紙の書類を提出したとき、ということになっていた。

 報告ツールが用意されるようになると、到着地空港のオフィスなどで即座に入力できるようになり、会社はリアルタイム性の高い情報を活用できるようになってきている。

さまざまな部門が絡む機内食の管理

 客室乗務員からの報告の中には、機内食のイレギュラー情報というのもある。機内食を乗客に提供するのはフライト中の客室乗務員、保管や積み込みには出発地の空港勤務の社員など機内食を管轄する部署と、複数の場所や部門がかかわるため、原因分析や対策においてはITによる情報共有が重要だ。この情報の管理には、ドリーム・アーツのデータベース製品が使われている。

 「旧ポータルからINSUITEへ移行する際、以前のような使い方に対応できない部分があり、それをこのソフトウェアで補っています」(佐々木氏)

 ここまで見てきたように、JALが再建した裏には、社員の意識改革があったようだ。グループウェアが企業改革における1つの基盤になり得ることを示す事例と言えそうだ。

Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookTwitterRSSメールマガジンでも情報を配信しています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

  5. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]