小松電機産業(島根県松江市)は、スマートフォンやタブレットを利用して消雪装置を監視できるサービスを2月から提供している。まずはAndroid端末から利用できるようにし、今後、iOSにも対応する計画だ。
同社では、地下水を利用して道路などで消融雪するための装置を遠隔地から監視する環境を提供。石川県河北郡津幡町に導入したのを皮切りに、5県15自治体217施設で稼働させているという。
これまでは、PCのウェブベースで遠隔から監視できていたが、PCを操作する環境が役場などに限定されたり、現場での操作が煩雑になっていた。スマートフォンやタブレットから遠隔で監視できるようになったことで、PCを開かずに監視できるほか、現場や出張先からでも迅速に管理できるようになったとメリットを説明している。
同社では、「消雪現場での迅速な対応や豪雪被害の軽減、夜間休日などの職員の負担軽減につなげたい。突発的な気象変動による豪雪などにも対応できる」としている。
スマートフォンやタブレットを通じて、管理エリア内の降雪状況を確認できるとともに、対象エリア内のすべての散水ポンプの運転を遠隔で操作できる。散水状況もリストとマップで表示できる。
端末から警告を発信すれば、メールを通じて施設の状況を確認できるようになっている。スマートフォンに搭載したGPS機能を利用することで、場所に不慣れな利用者でも目的地まで到達できるようにナビゲーションする機能も採用している。
2月に入り、都心では45年ぶりの大雪となるなど、全国的な豪雪で消雪施設の迅速な稼働が求められている。スマートフォンやタブレットによる遠隔監視で県や自治体、施設管理者の業務負担を軽減するとともに、迅速に対応できるという。
同社では「スマートフォンとタブレットでの監視を可能にしたことで、遠隔で操作できる消雪装置を3年以内に400カ所以上に増やしたい」としている。
水門の監視制御も強化
同社では、上下水道遠隔管理システム「やくも水神」で水門のゲート監視制御機能を強化する考えも明らかにした。
やくも水神は、2003年に製品化された上下水道遠隔管理システムで、「Ruby」で開発された初の業務管理アプリケーションに位置付けられている。製品化では、Rubyの開発者である、まつもとゆきひろ氏も関与している。
水道施設やマンホールポンプなどの下水道施設、水門施設、水位流量観測施設などに制御システムやセンサを配置し、ネットワークを通じて、データセンターに情報を集約。上下水道施設の遠隔監視を実現し、通常時の管理だけでなく、災害時の緊急対応にも活用できる。中央監視装置を設置する必要がないため、設備投資コストや運用コストを大幅に削減できるのが特徴としている。これまでに、全国約293の自治体に対し、約6000施設に導入した実績を持つ。
やくも水神では、機能のひとつとして、2005年から水門のゲート監視制御を提供。5県6自治体24施設で稼働していた。ゲート監視制御は、パケット通信で遠隔地からゲートの開閉を操作できるようにするもので、設置したカメラを利用して、水門の状況を確認しながら操作できる。
災害発生時などでは、水門のゲートの開閉が行わることが多いが、東日本大震災では、ゲートを手動で閉じようとして被災する消防団員が多く、その改善が求められていた。
パケット通信網は、断線の恐れがある専用線よりも災害に強い通信インフラと言われており、その点でもメリットがあるとしている。同社によると、全国に約1万カ所ある水門のうち、約2500カ所は設置時期が古く老朽化し、ゲートの開閉を手動で行っているという。
手動施設からのゲート監視への切り替え費用は、電動設備がある場合に1カ所あたり数百万円となっており、コストを低く抑えることが可能だという。同社では、「老朽インフラの更新にあわせた遠隔操作導入を本格的に展開していく」としている。