東北学院は、運営する幼稚園から大学までの各教育機関で利用する事務システムを統合し、プライベートクラウド環境に移行、「次期統合事務システム」として4月1日から本格運用を開始する。日立製作所が3月6日に発表した。
東北学院では、日立の「Harmonious Cloud」で提供されるサービスを活用。これまで組織や業務ごとに構築していたサーバを敷地外のデータセンターに仮想化、統合するなどした「総合情報基盤システム」を整備した。
総合情報基盤システム上には、各システム間で横断的に利用する学生や教職員の情報を一元管理する「東北学院データベース(GDB)」を構築した。各システムごとに保有していたデータベースを統合し、必要となる共通情報を取得することで、各システム間での情報の一貫性、整合性を確保できるようにしている。
例えば、学生の住所をGDB上で更新すると、東北学院が発行する各種証明書や教職員が管理する学籍情報に新しい住所が反映されるなど、これまで発生していた、複数のデータベースで個別に更新する作業の手間が解消され、学生サービスの向上や効率的なシステム運用が可能となるという。これまで各システムごとに個別に管理していた利用者IDや認証システムなども統一し、ITガバナンスの向上やセキュリティの強化を実現できるとしている。
総合情報基盤システム上に構築された次期統合事務システムは、大きく二つのシステムから構成されている。
一つは、私学として東北地方で最多となる約1万2000人の学生が所属する東北学院大学で、学生の履修登録や各種証明書の発行、教職員が利用する学籍や成績の管理などの業務に利用される教学系業務システム。教学系業務システムには、システムを最適化し業務変更に柔軟に対応できるという日立の大学向け学務情報システム「UNIPROVE/AS」をはじめとする「UNIPROVE」シリーズを採用している。
もう一つは別会社が構築した各教育機関の財務会計や人事給与などの業務に利用される法人系業務システム。総合情報基盤システム上に次期統合事務システムを構築することで、ITリソースの最適化や効率的なシステム運用が可能という。万が一、建屋が被災した際は、学院内のほかの場所からも事務システムが利用できるなど、事業継続計画(BCP)対策でも寄与するとしている。
次期統合事務システムと総合情報基盤システムの概要図(日立提供)