NECはMicrosoftの「Exchange Server」「SharePoint Server」「Lync Server」などを組み合わせた「グローバル情報共有基盤(Global Information Sharing Platform:GISP)」をプライベートクラウドとしてグループ企業全世界265社11万人に展開する。12月4日に発表された。
NECと日本マイクロソフトは大企業向けのクラウド事業での協業を4月から開始。その第1弾として「コミュニケーション・コラボレーション・ソリューション」の共同開発と拡販を展開してきた。GISPはその成果になる。NECは、日本マイクロソフトの技術協力で2012年度からGISPを技術的に評価し、2013年4~6月からNEC本体での本格稼働をはじめ、海外を含むグローバルに順次展開、2014年9月までに導入を完了させる。
GISPは、NECの国内外のグループ会社で個別に整備していた情報系システムをグローバルに標準化、一元化する。メールやスケジューラ、文書共有、ウェブ会議に加え、グローバルに組織を横断したナレッジを共有する仕組みとして企業内SNSやWikiも採用する。在席状況管理などの機能も統合させる。グローバルに全従業員のID情報を集約して統合管理する認証基盤と連携させて、文書の自動暗号化や文書ファイルへのアクセスログの採取などセキュリティを高める。
またPCだけでなく、スマートフォンやタブレットなどを活用して、移動中や外出中でも必要な情報などにアクセスできる環境として整備していく。PCやスマートフォンなどの端末にデータを残さないセキュリティシステムを導入して、私物端末の業務利用(BYOD)も可能にし、在宅勤務などの多様なワークスタイルに対応、移動コストの削減も実現できると説明している。
NECは販売、経理、購買の業務で2010年秋から統合基幹業務システム(ERP)パッケージ「SAP ERP」を稼働させており、このシステムとGISPを連携させる予定だ。またグローバルで展開している統合サプライチェーン管理システム(SCM)や海外顧客情報管理システム(CRM)もGISPと連携させる。事業と経営のスピードを最大化し、グローバルでの企業競争力を向上させていく考えだ。
NECは、今回の自社導入で得たノウハウと独自の付加機能を4月に発表した「ワークスタイル変革ソリューション」に盛り込む。グローバルに事業を展開する企業に、オンプレミスのシステム構築サービスからクラウドサービス、クラウドとオンプレミスのハイブリッド型まで幅広い形態で提供する。NECと日本マイクロソフトは先日、協業契約「Partner Hosted Productivity Cloud」を締結している。