本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役社長と、ダッソー・システムズの鍛治屋清二 代表取締役社長の発言を紹介する。
「彼がCEOになればいいなと思っていた」 (日本マイクロソフト 樋口泰行 代表執行役社長)
日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏
日本マイクロソフトが先ごろ、クラウド事業を強化するため、クラウド基盤サービス「Windows Azure」を提供するデータセンターを日本国内に開設したことを発表した。樋口氏の冒頭の発言は、その発表会見で、米国本社のCEOに就任したSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏について触れた際に、「個人的に」と前置きしながら語ったものである。
国内のデータセンターは、東日本(埼玉県)と西日本(大阪府)に設置。これにより、高い可用性を実現し、さまざまな市場のニーズに応える新しいシステム基盤として、安心、安全で高信頼、高品質かつ高速なクラウドサービスを提供していきたいとしている。
この発表についての詳しい内容は関連記事を参照いただくとして、ここでは樋口氏の冒頭の発言に注目したい。
まずはNadella氏の経歴を紹介しておこう。同氏はインドのハイデラバード出身で、米Sun Microsystemsを経て1992年にMicrosoftへ入社。ビジネスアプリケーションやオンラインサービス、サーバビジネスなどの部門で要職を歴任し、直近では「クラウド&エンタープライズ」グループのエグゼクティブバイスプレジデントを務めていた。
樋口氏はこのNadella氏がCEOになればいいと思っていた理由について次のように語った。
「Microsoftのような米国の企業は、ともすれば米国を中心に考えがちだが、Nadella氏はインド出身ということもあって異文化に対する理解が深い。また、とても聡明で顧客指向がきわめて強い。しかも直近で戦略的分野であるクラウド事業も担当してきており、これからのMicrosoftのリーダーとして最適な人物だ」
樋口氏によると、「今回の日本国内でのデータセンター開設も、およそ3年にわたって検討を重ねた上で、クラウド事業の責任者である彼が意思決定を行ったものだ」という。
ちなみに、米国本社で活躍している日本人として知られ、最近では同社が提唱している「クラウドOS」の伝道師役を務めているコーポレートバイスプレジデントの沼本健氏は、直近までNadella氏の直属の部下だったそうだ。樋口氏が「実はお馴染みの沼本も…」と言って紹介した。