米Microsoftでクラウド&エンタープライズ事業のマーケティング責任者を務めるコーポレートバイスプレジデントの沼本健氏がこのほど来日し、クラウド&エンタープライズ事業戦略を4月18日に説明した。
沼本氏は、「就任して約60日を経過した新CEO(最高経営責任者)のSatya Nadellaは“モバイルファースト&クラウドファースト”とともに、“ユビキタスコンピューティング&アンビエントインテリジェンス”をキーワードに掲げた。モバイルファースト&クラウドファーストは、デバイス&サービスカンパニーと同じ意味を持つが、より直接的に理解できるものである。たとえば、モバイルファースト&クラウドファーストといえば、OfficeをiPad上で展開するという意味も伝わりやすいだろう」と述べた。
ユビキタスコンピューティング&アンビエントインテリジェンスについて沼本氏はこう解説する。

Microsoft コーポレートバイスプレジデント クラウド&エンタープライズ マーケティング担当 沼本健氏
「アンビエントインテリジェンスは、意識しなくてもインテリジェンスを活用でき、スマートなエクスペリエンスを実現できるものである。ユビキタスコンピューティングで至るところにデバイスが存在し、それらがデータを生成する。これがアンビエントインテリジェンスを実現するエネルギーになる」
だが、現実には「今の実態はデータがたくさんあるのに使いにくいという問題がある」という。
「ユビキタスコンピューティングとアンビエントインテリジェンスをつなぐための技術が必要である。そこにMicrosoftの価値がある。人、データ、アナリティクスがアンビエントインテリジェンスのためのプラットフォームになる」
ユビキタスコンピューティングとアンビエントインテリジェンスを結びつける技術的ギャップがあると指摘し、それを埋めるための技術要件として「インメモリ機能による高速処理」「ハイブリッドクラウド」「ビッグデータの民主化」という3点を挙げて説明した。
データ処理のスピードを高めるインメモリ技術は、「2010年にExcelでインメモリ機能を使えるようにし、2012年にはデータウェハウジングでもインメモリに対応。2014年には“SQL Server 2014”でデータベースのOLTP(オンライントランザクション処理)に対応する」という。
SQL Server 2014について沼本氏は「コアエンジンそのものにインメモリ機能が組み込まれており、アプリケーションを書き換えることなく、インメモリの機能を享受できるのが特徴」と解説する。
「標準的なハードウェアに対応しており、既存のハードウェア資産を利用できる。既存のアプリケーションと高い互換性を持ち、ボトルネックになっている部分をインメモリ化し、アプリケーションを高速化することにつながる。さらに、ワークロードごとに最適化されたインメモリ処理が可能になる」と説明。OLTPでの性能向上は最大で30倍に、スター結合処理における性能向上は最大100倍に、ディスク領域では90%削減できるといったデータも示してみせた。
一方で沼本氏は「2月にPower BIに投入し、4月にはSQL Sever 2014を投入する。だが、SQL Serverの認知はまだまだ低い。Microsoftは、データベースプレイヤーとしての認知度が低いという反省がある。SQL Serverは、売上高は50億ドルを超えており、2桁成長を続けている。その勢いの中でSQL Server 2014が登場している。それを訴求していくことが必要だ。データプラットフォームに対する投資を積極化していく」と今後の方針を示した。
ハイブリッドクラウドでは、「クラウド、オンプレミスを問わずに活用する“ハイブリッドクラウド”が関心を集めている。SQL Server、Azureといったエンタープライズクラスのクラウド環境を持った製品群を持っており、ハイブリッドクラウドを構成している。場所を問わずにデータを格納でき、柔軟で高い可用性を実現できる。当社の一番の強みが生きるのは、要件にあわせてサービスを提供しているという点。日本でもデータセンターを設置し、日本国内だけでディザスタリカバリ(DR、災害復旧)が可能な体制にしている」と語った。
ビッグデータの民主化については、次のように語る。