デジタルを活用する消費者と小売企業の間により民主的な関係性が生まれており、ロイヤリティの獲得、購買の促進、競争力の維持のために、小売企業にはテクノロジ投資と戦略的取り組みの見直しが迫られている――。米Oracleが4月24日に発表した調査で提言している。
Oracleは消費者の消費行動から小売企業が消費者のニーズを満たしているかどうかを調査した。調査結果から、消費者は小売企業とのよりパーソナライズされたやり取りを望んでいることが明らかになったと説明している。
小売企業が持続的に成長するためには「どこからでもアクセス可能」で「いつでも入手可能」を実現し、消費者とのつながりを維持するビジネスモデル「Commerce Anywhere」が求められるとしている。
回答者の93%が商品を入手できるかどうかを知りたいと答え、58%はその情報の方が価格よりも重要であると答えていることから、「いつでも入手可能」の優先度が高いことがわかるという。
入手可能性、ロイヤリティ、購買の間には疑う余地のない関連性が存在しており、商品を入手できるかどうかに関する情報を提供している小売企業について、回答者の46%はロイヤリティが高まる可能性が高いと答え、30%はより多く購入する可能性が高いという結果が明らかになっている。
さらに92%は商品の補充を待つことはないと答え、その場合に88%は別の場所で商品を入手すると答えている。このことから、小売企業には需要予測、プランニング、マーチャンダイジング、サプライチェーン、マーケティング、コマースをすべてのタッチポイントで統合することが求められると主張している。
回答者の73%が“パーソナルリテール”の重要性を強調しているという。ここで言うパーソナルリテールとは、小売企業とのすべてのやり取りが消費者の関心や要求、購買履歴に基づいて個々の消費者と関連付けられていることを意味する。
回答者の48%は、ブランドから直接商品を買いたいと回答。このことから、科学的小売分析ツールを利用し、洞察力を備えてブランドの親近感を向上させるようにやり取りすることで消費者の関与を高めることが、これまでになく重要になっていると説明する。
82%の消費者が新しいテクノロジの採用が自分のショッピング体験に重要であると考え、ショッピングに携帯電話や“クリック&コレクト”、SNS、オンラインマガジンなど複数のタッチポイントを利用している。ここで言うクリック&コレクトは、消費者が商品をネット上で注文し、都合のよい時に在庫のある店舗で商品を受け取る仕組みという。
回答者の大半がショッピング体験を向上させる上で商品や接客担当者との物理的なやり取りが重要であると考えている。このことからCommerce Anywhereの提供でも店舗の重要性は変わらないと解説する。
だが、小売企業はこれらの業務への投資にコミットし、地域コミュニティをサポートする付加価値のあるサービスと活動を提供することで店舗を変革する必要があると提言する。
調査結果を受けて、Oracleは小売企業にはテクノロジ投資と戦略的取り組みの見直しが迫られていると説明。具体的には、小売企業の最大の課題はあらゆるタッチポイントでデジタルを活用する消費者を理解し、決定権を与え、その声に応えることであるという。
調査はブラジル、中国、フランス、ドイツ、日本、ロシア、韓国、イギリス、アメリカの消費者4500人を対象に2013年12月に実施。Oracleは今後数週間、調査の地域別の詳細分析を発表する予定。詳細は、英語で公開されている。