Eコマースの台頭で、世界は以前に比べて格段に小さくなった。かつては全く情報が入らなかった遠隔地の中継映像も、今では数回クリックするだけで見ることができる。さらに重要な点は、グローバル市場に進出し、事業を次のレベルに押し上げたい企業にとって、世界中の消費者に向けた製品やサービスの販売が、これまでにないほど簡単になったことだ。そうした製品、サービスの販売には、もはや時間も労力もそれほど必要ではない。
新たに「縮小された」グローバル消費の世界の中で、消費者のトレンドから目が離せない地域が1つある。東南アジアだ。世界各地の消費者を相手にビジネスを展開する企業は、この地域できわめて巨額の収益を上げることができる。全世界で競合したい企業は、大きな人口規模を擁する東南アジアの巨大市場をもはや無視できなくなっている。同地域は、米国の2倍に達する顧客と、3300億ドル相当もの市場を形成しているのだ。
ここで注意すべき点は、ダイナミックな東南アジア市場では、消費者の動きがめまぐるしく変わるということだ。
東南アジアの消費者を特徴づける7つのトレンドを挙げてみよう。
#1:成長市場
東南アジアは世界最大の人口密集地を抱え、その成長は止まらない。インド、インドネシア、ベトナムの市場は、それぞれ6%以上の成長を見込んでいる。巨大な消費者市場として知られる中国も、向こう2年間で10%以上の成長を期待される。PwCによれば、アジアは引き続き、全世界の小売りの成長を牽引する主力エンジンであり続け、多くの国際的な消費財企業や小売企業の成長や収益増加にとって、最大の機会を生むと見られている。
簡潔に言えば、同地域では成長が見込める。それも非常に大きな成長が期待されている。
#2:よりユニークな体験を
東南アジアと一口に言っても、消費者の傾向はそれぞれの国によって異なる。ただし東南アジア全域で共通している点は、消費者が企業やブランドとさらに深く関わりたいと思っていることだ。顧客はさまざまな形で、異なる体験を提供する異なるチャンネルを求めている。日本や韓国、インドネシア、タイ、シンガポールでは、QRコードの活用が盛んだ。消費者は、携帯電話やタブレット、PCから企業にアクセスし、各デバイスによって異なる体験を味わいながら、自分の消費体験を完全にしたいと思っているのだ。
今や、顧客とブランドとの間には、以前よりもずっと多くの接点があり、このことは次に挙げる点にもつながる。
#3:モバイル熱はまだ続く
東南アジアでは、タブレットの売上が100%以上の勢いで伸びている。全世界のなかでも、スマートフォンの購入熱は、ますます東南アジア地域に集中する見込みだ。その背景には、現地の企業が利幅よりもむしろ販売数を重視し、魅力的な商品としてのマーケティング効果の高いデバイスを市場に大量投入する動きがある。モバイル経由でインターネットを使うユーザーの数は、インドネシアでは人口の29%、ベトナムでは50%を超える。今後2年間で、マレーシアでは、スマートフォン所有者が総人口のおよそ60%を占めるようになる。同国では現在、携帯電話を2台所有する人の割合が人口の40%近くに達し、携帯電話の浸透率は137.7%に上る。
言い換えれば、10人に2人は、携帯電話を2台所有しているのだ。