オープンデータ全体の価値を決定することは容易ではありません。これを利用する企業は、できたばかりであることが多く、彼らの成功を(オープンデータの価値として)測定するのは時期尚早です。一方、多くの既存企業は、自分の仕事のための単なるリソースの1つとしてオープンガバメントデータを利用しています。このことが、それ(オープンガバメントデータ)が彼らのビジネスにどのくらい貢献し得るかを把握することを難かしくさせています。これまでのところ、オープンガバメントデータに価値を置くための努力は、幅広いレンジの数字として表れています。データの価値を推定したものとしては次のようなものがあります。
- 欧州連合(EU)全体で300億から1400億ユーロ(約400億から1850億米ドル)
- 英国内のデータとして、約30億から90億米ドル
- 米国の気象データとして、15億ドルから年間300億ドル以上の間
- 米国のGPSデータとして、900億ドル、もしくはそれを下回る数字
なぜ数字がバラバラなのでしょうか。最初の2つの推定値は(ひとつはGraham Vickery が欧州連合(EU)のために調査したもので、もうひとつはコンサルティング会社Deloitが英国のために行ったもの)欧州人が「公共部門データ」と呼んでいるものです。これはパブリックに利用可能ですが、手数料が必要であったり、再利用に制限が存在する可能性があるため、真のオープンデータとは言えないデータです。
これらの見積りはそれぞれ、例えば、新たな情報提供のウェブサイトやアプリのようなデータの直接利用から、データ解析技術の市場形成や政府の効率化などのような、間接的な便益から発生し得るより大きな価値に至るまでの範囲を示しています。
米国の数字は、何をカウントするか次第です。オープンな気象データは、二次保険市場におけるアプリケーションでは推定15億ドルをサポートしています。しかし、はるかに大きな値が正確な天気予測によるもので、米国内で年間300億ドル以上の節約になると言われています。 GPSデータの価値が900億ドルと見積もられていますが、その数字は業界の研究からのものであり、高すぎる可能性があります。
それ以外の曖昧な数字、McKinseyの調査は米国の健康データが300億から4500億ドルの可能性と推定される、としていますが、この見積りは公共データだけでなく民間のデータソースを含んでおり、健康に関するオープンデータの価値を引き出すのを難しくしています。McKinseyは現在、すべてのオープンガバメントデータの価値の合計の推定に取り組んでおり、O'Reilly Strata会議で今月末(訳注:2013年10月)にリリースされる予定です。