技術的知識は、ITマネージャーに必要なスキルの一部に過ぎない。チームをサポートし、問題を予測して解決し、政治的な問題が生じた時にはそれを阻止する能力も不可欠だ。
ITプロフェッショナルは、管理スキルというものに反発する傾向がある。多くの人は管理スキルのことを、本当にする必要がある仕事をしないで、オフィスに座っていることだと見なしている。しかし管理スキルは、IT業務を成し遂げる上で重要な役割を果たしている。そうしたスキルは、自分の部下が仕事をできるようにすることと、仕事が先に進むようにビジネスユーザーとの政治的な問題を解決することの境界線上を常に歩いているITマネージャーにとって、絶対必要なものだ。
この記事では、すべてのITマネージャーが取るべき管理的なアクションを10項目紹介する。
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1. 予算獲得のために果敢に戦う
事業価値が必要とされる、価値のあるプロジェクトが経営幹部に認められなければ、仕事は滞る。現場のスタッフは、ITマネージャーが自分たちの仕事を売り込んでくれるのを当てにしているので、事実上、プロジェクトを正当化する理由や、投資に対する見返り、そしてもちろんITプロジェクトを進めるべき理由を納得させるためのデータというのは、いくら準備しても「準備しすぎる」ことはない。
2. 問題のある状況が生じた時に素早く対応する
それが政治的なものであれ、技術、戦略、あるいは業務に関するものであれ、問題というのはどこからともなく急に現れるものだ。こうした事態が生じた時には、問題が本格化する前に対応しよう。そして、その問題が別の場面で再び発生しないように、クリーンな解決法を得るように努力すべきだ。
3. 従業員を褒める
「The Power of Praise in Business -- and How to Do it Right(ビジネスにおける褒める力と正しく褒める方法)」という記事では、Harvard Business Reviewに掲載された、ある研究論文を引用している。それによれば、Best Buyでは「従業員エンゲージメントが0.1%向上したことで、各店舗の最終損益における営業利益が年間10万ドル増加した」ことが分かったという。モチベーショナルスピーカーのChester Elton氏はこの研究についてのコメントで、最も重要な要素は従業員を認めることだと述べている。
4. チームワークを構築する
誰もがチームワークの価値を説いている。しかしあなたの会社に猛烈な競争文化があって、認められるためには常に自分を売り込まなければならないと誰もが感じているなら、チームワークを実現するのは不可能だろう。多くのマネージャーがまだこのことを分かっていないのは驚きだ。
高い管理能力を備えたマネージャーなら、日常的なIT業務の複雑さを理解している。彼らは、互いを信頼し合うしっかりしたチームがなければ、IT部門はプロジェクトに効果的に取り組めないことを把握している。そこで、彼らは「有言実行」する。ほかの人の取り組みを支援するために必要なことなら何でも、誰よりも先にするのが彼らであり、これを模範的行動としてほかの人々に示す。
5. 説明責任を求める
チームで働く環境では、個人は自らの仕事の責任を引き受けなければならない。そうしなければ全員が失敗する。物事がうまく行かない場合に責任を負うのを拒んだり、その責任を他人に押しつけようとする人は、常にいるものだ。そうした状況を十分に把握し、物事がどこでうまく行かなくなったのか、そして誰がその説明責任を負っているのかを正しく理解することは、マネージャーの仕事である。チームのやる気を失わせかねない、責任を他人に負わせようという考えも、これでやめさせることができる。さらに、誰にでも失敗はあるということを部下に理解させるのもマネージャーの仕事だ。重要なことは、自分の責任を認めて、必要な場合には是正処置を取ることだ。