IIJとMS、マルチクラウドで協業--GIOとAzureを閉域網で接続

三浦優子

2014-07-12 08:00

 インターネットイニシアティブ(IIJ)と日本マイクロソフトは7月10日、IaaS/PaaSの「IIJ GIOサービス」と「Microsoft Azure」を連携させたマルチクラウドで協業すると発表した。IIJは、ワールドワイドで提供されているAzureへの閉域網接続サービス「ExpressRoute」の日本で初めてのパートナー企業となり、協業第1弾としてAzureへの高速な閉域網サービスを日本で提供する。

 IIJの代表取締役社長である勝栄二郎氏は「マルチクラウド時代を実現する協業を目指し、今後3年間で200社の顧客獲得を目指す」と語った。日本マイクロソフトの代表執行役社長の樋口泰行氏は「IIJとは4年前から協業しているが、ベンチャースピリットを持った素晴らしいパートナーであり、今回、日本で初めてとなるExpressRouteパートナーとして一緒に市場開拓を進めていく」と協業が大きなメリットとなると説明した。

公衆回線ではIPSecでのVPNがよく使われている 公衆回線ではIPSecでのVPNがよく使われている
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GIOとAzureを閉域網で結ぶ GIOとAzureを閉域網で結ぶ
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(左から)
日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長 佐藤久氏
日本マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏
インターネットイニシアティブ 代表取締役社長 勝栄二郎氏
インターネットイニシアティブ クラウド事業統括専務執行役員 時田一広氏

ネットワーク品質の不安を解消

 今回、IIJが国内で初のパートナーとなったExpressRouteは、高セキュリティや安定した接続スピードを望むユーザー企業を対象に、オンプレミス環境とAzureデータセンター間を閉域網で接続する。IIJが、Azureへの閉域網接続サービスとして「IIJクラウドエクスチェンジサービス for Microsoft Azure」をユーザー企業に提供する。

 ExpressRouteは、ワールドワイドでは5月からスタートしており、Equinixがグローバル契約している。日本でのサービス提供の可能性はあるものの、日本でのパートナーは当面、IIJのみとなる見込みだ。

 「従来の企業向けサービスとしてはVPN(仮想専用網)が活用されていたが、インターネット網を介しての接続となるため、安全性、帯域に制限があるなどネットワーク品質に問題を感じる顧客が存在した。それに対しExpressRouteは、顧客のWANにAzureを直接続するため、複雑性の排除、追加コストの削減、遅延(レイテンシ)の低減、広い帯域の提供、安全性の向上、さらに公衆インターネット網に潜むリスクを回避できる」(日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長 佐藤久氏)

 クラウドエクスチェンジサービス for Microsoft Azureでは、IIJが所有するバックボーン上にユーザー企業専用の閉域網を構築する「IIJ GIOプライベートバックボーンサービス」を経由して、ExpressRouteを利用できる環境を提供する。ユーザー企業は、社内ネットワークからGIOプライベートバックボーンのゲートウェイに専用線やWANを経由して接続し、ExpressRouteを通してAzureのリソースに閉域網でアクセスできる。Azureには公衆回線網を経由しないことで、セキュリティを担保することになる。

GIOとAzureで相互補完

 マイクロソフトでは“クラウドOS”というビジョンのもと、Azureをはじめオンプレミス、サービスプロバイダーが提供するサービスなどを、現在のビジネスにあわせた統合プラットフォームとして提供する戦略を進めている。

 「今回のIIJとのパートナーシップは、Azureと顧客のシステムの間をセキュリティを担保しつつ、高速にやりとりできる、エンタープライズクラウド時代を推進するものとなる」(佐藤氏)

 IIJでは、GIOでIaaSとPaaSを中心にサービスを提供している。大企業から中小企業まで単一サービスを提供するAzure単体では提供が難しい、占有リソースの提供、個別機器の持ち込み、高いサービスレベル、顧客資産のボリュームライセンスなどをGIOでユーザー企業の要望にあわせて提供できるという。

 「GIOとAzureを連携させた、マルチクラウドサービスを提供できる。利用する顧客は、接続回線は国内の9キャリアから選択できるマルチキャリア対応で、アクセスポイントとしては東京2カ所、大阪2カ所の計4カ所を用意。接続帯域も5段階を用意し、ニーズにあったものを選択できる」(IIJ クラウド事業統括 専務執行役員 時田一広氏)

 用途としては、「これまではクラウドに載せていなかったアプリケーション開発、ビッグデータIoT(Internet of Things:モノのインターネット)、基幹業務、ハイブリッド型アプリケーションなど」(時田氏)と新たなクラウド用途を共同でマーケティングし、開拓していく計画だ。

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