AppleとIBMは、大規模な提携を発表した。この提携により、両社はそれぞれが最も得意とすることに集中できるようになる。この記事では、この提携がエンタープライズ分野にとって何を意味するのかを考える。
Appleはこれまで、エンタープライズ分野での取り組みをあまり得意としてこなかった。時として、エンタープライズ分野での「iPhone」と「iPad」の成功は、Appleだからというより、Appleなのに、というように思える。幸い、Tim Cook氏は(長年のAppleファンにとっては思いも寄らないことだが)IBMと新しい「グローバルパートナーシップ」を提携したので、両社はそれぞれの強みを生かせるようになるはずだ。
IBMのCEOであるVirginia Rometty氏(左)と、AppleのCEOであるTim Cook氏
提供:Apple/Paul Sakuma
米国時間7月15日に発表されたプレスリリースでAppleは、Fortune 500企業の98%と、Global 500企業の92%が「iOS」デバイスを使っているとした。Appleは企業のIT部門が必要とするソリューションを提供することを、時には驚くほど不得手とするにもかかわらず、だ。
Appleはごく最近までIT部門に対して、iPhoneとiPadを設定する際には、たとえ何万台という規模で導入する場合でも自分たちで箱から出して、物理的に接続することを求めていた。Appleがアプリの「Volume Purchase Programs」(VPP)を本格的に展開するまでには5年以上かかっている。さらにAppleのカスタマーサービスやサポートプログラムはコンシューマーや中小企業向けに構築されており、大企業向けにはなっていない。
今回のIBMとの新しい提携によって、そうした状況がすっかり変わることが期待されている。多くの企業が、従業員向けのカスタムのアプリやプラットフォームは導入したいが、それを一から開発するのに伴うさまざまな面倒は避けたいと考えていることに、IBMは気づいている。企業は、産む苦痛なしに赤ん坊だけが欲しいのだ。そこで、IBMが活躍する。
IBMは自社の大規模なエンタープライズ向けサプライチェーンを通じて、iPhoneとiPadを販売する予定だ。また両社は、企業向けの新しいネイティブアプリとエンタープライズソリューション共同開発し、IBMのクラウドサービスによって、デバイス管理、セキュリティ、分析などを網羅する。