石巻市、被災者支援システム--各部署の基本情報と健康情報を一元管理

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2014-07-23 11:58

 宮城県石巻市は、東日本大震災の被災者の住所や公営住宅の申し込み先情報など市の各部署が保有している基本情報と、被災者を支援している保健福祉の専門職などが持つ健康情報などを一元管理する「被災者自立支援システム」を構築、今秋に運用を開始する。石巻市が復興、医療福祉など震災後のコミュニティ形成に重要な情報提供を組織横断的にできるように支援する。システム構築を手掛けるメディアテックと国際航業、日本IBMが7月22日に発表した。

 今回の被災者自立支援システムは、総務省の被災地域情報化推進事業の一環としてメディアテックが石巻市から受託し、構築された。メディアテックは全体のプロジェクトマネジメント、国際航業は行政業務支援の実績を活用した地理情報システム(GIS)の構築、日本IBMは統合データベースの構築とビジネスインテリジェンス(BI)を担当した。

 被災地では現在、被災者が完成後に入居する公営住宅を事前に申し込み、移転先を定める作業が進められている。新居への移住後も心身ともに健やかに生活していくためには、地域コミュニティ作りや健康維持施策の充実が求められる。被災自治体では、基礎的な住民情報も一部不正確なままで、平常時と同様の行政運営に加え各種の復興事業に取り組んでいるのが実態という。

 構築する被災者自立支援システムでは、市民協働・住民台帳部局が管理する現住所や被災時住所などの情報、防災部局が持つ罹災証明や避難行動要支援者の情報、医療・福祉部局の健康指導・ケア情報、復興まちづくり部局の入居希望情報などの基本情報と住居表示台帳・地番図・家屋図、都市基盤復興状況縦覧図などの地図情報を一元的に管理する。

 こうした情報で石巻市では、被災者がどの地区の防災集団移転用宅地への移転を希望し、これまで住んでいた地域のコミュニティや健康指導・ケアを担当した専門多職種の担当者、支援したボランティア、当該被災者とつながりがある人やグループが入居している災害公営住宅などがあるか、きめ細かくケアできるという。

 同システムで集約した情報はBIで仮設住宅の空き状況の把握、支援が必要な人の把握、地域ごとの健康状態の傾向など、石巻市の将来のまちづくりに有効な情報を分析できると説明する。ビッグデータを活用したまちづくり支援は、全国的にも例がない試みで、被災地以外でも高齢者の支援に応用できると期待されているという。

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