「日本市場はアベノミクス、2020年開催の東京五輪という外的要因、そして2015~2017年に起こるといわれているIT技術者の人材不足と、CAが活躍するチャンスは大きい」――。
CA Technologiesが7月25日に開いた日本市場向け経営戦略説明会の中で、3月末に日本法人社長に就任したPaul Falkenstein氏が意気込みを語った。日本市場向けに(1)社員の能力開発、(2)革新的な製品・取り組み、(3)パートナービジネスの拡大、(4)顧客満足度の向上――という4点を戦略として掲げて取り組みを強化する。
世界と異なる日本のCIOの意識
CA Technologiesは、Amazon.comに代表されるようにITを活用してきた企業がビジネスモデルを大きく変更していることに着目、ITが果たす役割が劇的に変わっていると分析。世界の最高情報責任者(CIO)1300人にアンケート調査した。
CA Technologies アジア太平洋日本(APJ)地域担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー Kenneth Arredondo氏
CA Technologies 社長 Paul Falkenstein氏
アジア太平洋日本(APJ)地域担当のバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのKenneth Arredondo氏はその結果を見て、「81%が組織内でのITの役割は今後5年でさらに変わると答えている。また、ITが非常に重要なものであるという回答の割合がAPJは他の地域よりも高く、89%に及んだ。日本はその中でもダントツに高く、94%となった」と日本のCIOの意識が世界と異なっていると指摘した。
Arredondo氏は世界のモバイルアプリ利用率についても、全世界のモバイルアプリの売上高41%がアジアからのもので、2017年までに20億5000万のユーザー数になると試算されていることから、「世界のモバイルアプリをアジアが牽引する」とアジア市場の重要性をアピールした。
日本法人については、日本法人の社長であるFalkenstein氏が、「アベノミクス、2020年に開催される東京五輪、そして2015~2017年にも起こるといわれているIT技術者の人材不足問題が重なり、当社にとっては大きなビジネスチャンスがある」と言及した。製品ポートフォリオとしてマネジメントクラウド、DevOps、セキュリティの3分野の製品群を拡充する。
Falkenstein氏は「クラウド分野については、日本でも多くの大企業が採用している“(プロジェクトポートフォリオ管理の)CA Clarity PPM”をはじめ、クラウド利用をサポートする製品群を用意している」と説明した。
「DevOpsについては、日本でのDevOps戦略を採用している、もしくは採用する予定があるという企業は米中に比べ少ないという調査結果が出ているが、日本で仕事をするようになってからユーザー企業の反応をみると、DevOpsへの関心はもっと高い。CAではバーチャル環境で、DevOpsのパフォーマンスをテストするツールを提供し、DevOpsを導入しやすい環境を提供する。セキュリティについては2018年には市場規模が現在の3倍となるという調査結果も出ている。われわれはアイデンティティ管理、アクセス管理、API管理製品を提供し、ニーズに応えていく」(Falkenstein氏)
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セキュリティ製品に分類されていたARCserve事業については別会社化することを発表しており、「ARCserveはベンチャー的な切り口で事業を展開していく計画となっている。これはCAにとっても、ARCserve側にとってもプラスとなる選択となるだろう」(Arredondo氏)と説明した。
日本市場独自の戦略として、社員の能力開発として、2012年10月から実施している「能力開発プログラム」と、ディベロップメントニーズにあわせた3つのプログラムを提供。「未来のリーダーとなる人材を育成することを引き続き進めていく」(Falkenstein氏)
製品については、4月にAPIを管理する「CA Layer 7」、6月にDevOpsを支援する継続的デリバリー製品「CA LISA Release Automation」、メインフレームクラウドストレージ製品「CA Cloud Storage for System z」を発売した。 第2四半期(7~9月)には、データセンターインフラ管理製品「CA DCIM」や戦略的IT投資管理を支援するモバイルアプリケーション「CA Clarity Playbook」を発売する予定となっている。メインフレーム技術者支援のためのメインフレームアカデミーを開設することも計画している。
パートナービジネスについては、 パートナー企業との関係を構築する機会として「CA Technologies Partner Exchange(CAPE)」を今年度に4回実施。既存と新規のパートナー企業に対し、トレーニングや共同マーケティングなどでパートナープログラムを増強していく。顧客満足度向上では、「カスタマーアドバイザリーボード(CAB)」を実施し、主要顧客との意見交換を通して、日本市場のニーズを把握し、製品に反映させる計画だ。