--「データがユーザーに帰属している」というのは、どういう状態を指すのか。
主にセキュリティが担保され、干渉されないという状態です。われわれにとって、セキュリティは非常に重要な要素です。もちろん、これまでデータの漏えいはありません。「データがユーザーに帰属している」という側面の1つは、データを暗号化することです。暗号化はクライアントサイドで実施しており、その暗号鍵はユーザーが所有します。
そのため、私たちは格納されているデータの中身を見ることはできません。また、鍵はユーザーに帰属しているので、われわれではどのデータブロックがどのユーザーのものなのかさえわかりませんし、当然ながらデータとユーザーを紐付けることもできません。データブロックの数は500億あります。
もう1つの側面は、データの格納場所を地域化しているということです。つまり、日本のユーザーのデータは日本のデータセンターに格納され、他国に出ることがありません。Bitcasaが提供する仮想ハードディスクドライブは、顧客の地域に置かれたローカルなハードドライブなのです。
--データセンターを建てるなど、日本を重視している理由は何か。
日本は優れたインフラ、とりわけモバイルインフラが高度化されているモバイルファーストの国との認識からです。また、大量のデータが作成され共有、保存、利用されています。まさにこういう環境に向けて構築されたのがBitcasaのサービスなのです。われわれが製品をローンチしたとき、日本で急速に事業を拡大することができました。それは、われわれのエンジニアリングが想定している未来の姿を体現している国が日本だと思います。
われわれが管理しているデータは40ペタバイトですが、このうち日本からのデータが25%を占めています。そして、毎日10テラバイトのデータが日本から来ています。これは、最も急速な成長が日本で実現されていることを意味していると思います。日本のユーザーはわれわれのサービスを積極的に利用しており、日本にデータセンターが欲しいという顧客の声に応え、データが日本にとどまるようにしました。
--企業ユーザーのサービスの使い方に特徴はあるか。
われわれユーザーは、tech-savvyな開発者や企業であって、Bitcasaを個人的なデータに利用していました。彼らはコンシューマーであると同時に、企業を立ち上げていたり、大手企業で仕事をされている方々で、プライベートで使用して非常に良かったので、仕事でもプロフェッショナルユースとして使ってみたいという要望が挙がっていました。
そこで、これまでコンシューマー向けに提供してきたサービスと同じAPIを、デベロッパーや企業でも使えるようにしました。そしてコンシューマー向けと同様に、ストレージのサービスを容量無制限でデベロッパーや企業に対して提供します。これによって、API上でアプリケーションを用途に応じて構築することができるようになりました。
データについてはコンシューマーサービスと同様に、データやクラウド、ブランドはすべてデベロッパーや企業に帰属します。プラットフォームはひとつであり、BtoCやエンタープライズ、デベロッパー、あるいはデベロッパーがBitcasaのプラットフォームからエンタープライズあるいはBtoC向けのサービスを提供するなど、さまざまな形で利用可能です。