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JKとメガネにITをかけて鯖江と解く--「電脳コイル」目指すjig.jp福野社長 - (page 3)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-08-21 07:00

女子高生がアプリを開発

--鯖江市の「JK課プロジェクト」について。

 はじめは「(女子高生を)JKとは何事か」と風当たりが強かったのですが、図書館アプリ「Sabota」ができたことで、ちゃんとしたことをやっている証明ができたと思っています。そもそも「JK課」は、市の発展に期待感を持って集まった女子高生たちで構成されていまして、「自分たちでアプリを作りたい」という声を受けてアプリ作り入門セミナーなどを開催しました。その勉強会で、困っているところを挙げてもらったところ、「がんばって図書館に行ったのに座席が空いてない」という切実な意見が出て、作ってみたのがSabotaです。


JK課プロジェクト

 システムはとても単純で、1個400円の赤外線距離センサを図書館の椅子につけて、センサからのアナログの距離情報を取ります。机に足が入っているかどうかだけを認識するもので、0か1かの信号をウェブAPIを通じて公開し、そのデータを使って女子高生がデザインしたアプリがSabotaです。

 こうした試みは社会的なニーズもあり、横展開できると思います。現在、センサのメーカーが声をかけてくれます。ベンダーが製品としてセンサを出してくれれば、設置するだけでデータが取れるようになり、それを生かしたアプリを学生が作ったりと広がりが出てきます。今までウェブを知らなかった人を引き入れるという意味では、面白い動きになると思います。

 鯖江市はこうした取り組みによって、「メガネの鯖江」として提案がいろいろ来るようになりました。最近では、医療とメガネの組み合わせで新しい取り組みがあります。メガネは微細金属加工技術の固まりであり、脳外科手術用のハサミのほかに、手術用メガネの共同開発が進んでいます。

 また、鯖江市がオープンデータで盛り上がっていることから、福井県からも(オープンデータの推進を)応援するという話がきました。2014年度はウェアラブル特区の申請と、ウェアラブル企業支援というプロジェクトで応援するという話が出ています。「大企業が福井県で何かするのも面白いかも」と、鯖江を訪問したいという問い合わせも増えています。

 市長は大歓迎で、「何でも言ってくれ」と楽しんでいるようです。「リスクは楽しいから取る」と、行政らしからぬ動きに拍車がかかったような印象です。企業との連携も増えており、たとえばSAPジャパンにはJK課プロジェクトやオープンデータの取り組みにインフラを提供する側面支援をしていただいています。

 jig.jpでも、システムのバックエンドにSAPのサービスを使ってみて、パフォーマンスがどう出るかを一緒に取り組んでいます。ヤフーとも、鯖江市の新着情報をYahoo!JAPANに掲載させるという実験が進んでいく可能性があります。

 地方は地方のIT事業者が小さい世界で細かい案件をやっているのが現状で、これは市民にとっては不幸です。まずは危機感を持った中小企業が思い切って、オープンデータなどで自治体と連携していく。これは大きなビジネスチャンスになります。突破口になる事例が出てくれば、横展開しやすいと思います。

 鯖江の場合は、まずGoogle Glassをかけて「面白そうだ」と説明し、メガネの分野で鯖江の技術が期待されていることを知ってもらいます。職人の名にかけて何かを作ってやろうという人たちはいっぱいいるので、うまくつながると面白いですよね。メガネはかけやすさが最大のポイントです。どんなに外見が格好良くて機能が高機能で電池が持つといわれても、かけにくかったらどうしようもありません。

 鯖江市には、メガネを作り続けて109年という歴史があります。ウェアラブルで「メガネといえば鯖江」というくらいにしたいですね。スマホのOSでは世界の企業に負けてもいいけれど、メガネでは日本が勝つ。それが最後の砦かなと。ウェアラブル端末としてのメガネの次のデバイスまでは距離が遠いと思いますので、メガネ産業をITの世界で(シェアを)取れると長く繁栄できる気がします。

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