「Android」は問題を抱えている。もっと正確に言えば、Android開発者は問題を抱えている。世界スマートフォン市場で84.7%ものシェアを獲得(2013年の79.6%から拡大)しているにもかかわらず、同OSのフラグメンテーションは年々深刻化しており、開発者は2014年に流通している少なくとも1万8796種類のAndroidデバイスへの対応を求められている。
開発者は何をすべきなのだろうか。
何をするにせよ、落ち着くことだ。Androidのフラグメンテーションは厄介なことかもしれないが、さまざまな理由から、障害ではなくむしろ好機になる可能性もある。
スマートフォン市場を短期間で制圧したAndroid
Androidの圧倒的な市場シェアは今に始まったことではない。何年も前から、このオープンソースOSはスマートフォン市場でシェアを伸ばし続けてきた。IDCによると、直近の2014年第2四半期、Androidは出荷台数を前年同期から33%伸ばし、84.7%の市場シェアを獲得したという(図A)。
図A世界スマートフォン市場におけるOSシェア。
市場シェアの推移をずっと追ってきた人から見れば、それはAndroidが2011年に記録した市場シェア36.1%と比べて大幅な拡大である。同じ4年の間に、Appleの「iOS」の市場シェアは18.7%から11.7%に縮小した。
しかし、特に興味深いのは、Androidがどの価格帯で使われているのか、ということだ。確かにハイエンドのAndroidスマートフォンもサムスンなどから提供されているが、IDCの調査結果が示すように、Androidの本当のスイートスポットは市場のローエンドとミドルレンジにある(図B)。
図B世界スマートフォン市場における価格帯別OSシェア。
Androidが新興市場で普及していることを考えると、これは意外なことではない(図C)。このことは、VisionMobileが開発者を対象に実施した調査の結果にも顕著に表れている。
図C開発者市場を支配する「iOS」と「Android」。
新興市場におけるAndroidの強さは今後も持続するはずだ、とIDCのリサーチマネージャーであるRamon Llamas氏は推測する。「第2四半期、世界で出荷されたすべてのAndroidスマートフォンの58.6%は、契約なしで200ドル以下で販売されており、ほかのデバイスに比べて非常に魅力的だった。Googleがリファレンスデザインを100ドル以下でAndroid OEMに提供する『Android One』が先ごろ発表されたことで、200ドル以下のデバイスの台数の比率はさらに高まるだろう」(Llamas氏)
伊藤穰一氏が先ごろ、深センへの旅行で発見したように、中国では完全な機能を備えた携帯電話の小売価格が9ドルまで下がっている。それを考えると、世界市場はGoogleが手にするだろう。
こうした要素すべてはGoogleとAndroidプラットフォームにとって、非常に都合のいいことだ。Androidデバイスの増加は、モバイルサービスと広告から売り上げを得る機会の増加を意味する。
しかし、問題はフラグメンテーションだ。
深刻化の一途を辿るAndroidのフラグメンテーション
AppleがiPhoneのモデルを慎重に絞り込んで囲いに入れているのに対し、Androidは紛れもない大集団で突き進んでいる。OpenSignalの最新の調査結果によると、現在、1万8000種類以上のAndroidデバイスが流通しているという。
驚くべきことに、フラグメンテーションはさらに深刻化している。
どれだけ深刻化しているのだろうか。OpenSignalによれば、Androidのフラグメンテーションはこの1年間だけで約60%拡大しており、2013年に1万1868種類だったAndroidデバイスの機種数が2014年には1万8796種類に増加したという。これを可視化するために、OpenSignalは2013年8月におけるAndroidのフラグメンテーションの状況を分かりやすく示す図を作成した(図D)。
図D2013年8月におけるAndroidのフラグメンテーションの状況。
2014年8月と比較してみよう(図E)。
図E2014年8月におけるAndroidのフラグメンテーションの状況。