多様な取り組みと参加を認めながら進むオープンデータの活用--「オープンデータ・サミット」レポート - (page 3)

田島逸郎 2014年10月06日 12時09分

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 多くの自治体がサステナブルな形でデータの流通や課題解決をできることを目的としている「アーバンデータチャレンジ」について、東大生産技術研究所の関本義秀氏が発表した。現状の問題として、地域課題とデータのバランスについて首都圏の自治体に調査したところ、データはたくさんあるがツールはないという問題が多く需給のミスマッチが見られた。また、オープンデータへの周知も低かったという。

 これらの問題を受けて、リソースの少ない自治体でもオープンデータの活用が可能なようにするという趣旨から活動を開始した。「UDCT2013」というコンテストでは、多くの応募が見られ、静岡県では、このプロジェクトをきっかけにオープンデータの公開が始まった。今後の展開としては、全国展開やノウハウの蓄積、専門家によるワークショップ、アプリ展開の評価、クラウドファンディング、地域拠点での立ち上げの類型化などを目指している。この他、主に地理情報や都市に関するデータについての事例を取り上げた。


アーバンデータチャレンジの全国展開

 福岡市での取り組みについて、福岡市の最高情報責任者(CIO)の補佐官の竹内聡氏が発表した。経済の活性化などを目的に、さまざまなデータが散らばっている現状をオープンデータとしてまとめ、民間企業などで実証実験を実施するというフローを目指している。施策としてはまず部署ごとに散らばったデータや福岡市製のアプリを集めたオープンデータサイトの構築を目指している。

 また、他のさまざまな市と連携した「ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会」を設立して提携やコンテストなどを開催している。オープンデータに関する研究の推進しており、ビッグデータ&オープンデータ研究会in九州(BODIC)を設立した。実際のアプリの開発も行っており、犯罪情報を解析、地図上にプロットするスマートフォンアプリ「けいご君」を作成した。最終的には使いやすいデータの提供を目指すとしている。


福岡市のオープンデータ施策の目標

 ライフサイエンスに関するデータベースのノウハウを活かした理化学研究所での取り組みについては、豊田哲郎氏が発表した。さまざまな機関と連携してデータの敷居を下げることを目指し、データを標準語彙で提供できるプラットフォーム「LinkData」を提供している。さまざまな自治体のデータの登録も増えてきており、また民間によるデータの二次利用を目指し、データアクセス言語「SPARQL」などのさまざまなAPIでデータを提供している。

 「CityData」として地域データの利用や地域の貢献者をランキングにする試みも担っている。さらに、アイデアソンやハッカソンなどの成果を、ビジネスの専門家である「目利き」や助成金などと連携させるビジネス化支援データベースも作成中である。その上で、民間が公共に求めることとして、「何が公共リソースとしてあるのか」というメタ情報の提供や、民間からの情報を統合する仕組みを提供し、民と民の間のデータ活用の活性化することを提案した。


「ビジネス化支援データベース」出典:Tetsuro Toyoda

 最後に富士通での取り組みについて、高梨益樹氏により発表が行われた。富士通では、「HSIS」というリアルから得たデータをリアルに還流させるビジョンをデータ活用のあるべき姿としている。いわゆる「データサイエンティスト」をデータに詳しい「キュレーター」と位置付け、例えば健康診断データから疾病リスクを予測するため、個人や会社のレセプトデータを重ねあわせる作業をしている。

 その上で、「データオリエンテッドな分析」として、例えば将棋ソフトを作る人が必ずしも将棋に詳しくなくても強い将棋ソフトを作れるように、実際に従事している人より、データの専門家が分析したことのほうが物事のやり方がうまくいくのではないかという視点を挙げた。


データオリエンテッドな分析の例

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