9月27日、慶應義塾大学三田キャンパスで、オープンデータを推進する主要な団体、自治体や企業が集まり活動報告や今後の方針について議論する「オープンデータ・サミット」が開催された。
2013年のLODチャレンジ受賞者のライトニング・トーク
イベントはデータ作りやデータを活用した作品、取り組みのコンテストである「LODチャレンジ」を主催するLinked Open Data チャレンジ Japanの発表から始まった。まず「LODチャレンジ2014」の開催が宣言され、10月1日からコンテストへの応募の募集を開始することをアナウンスした。
「LODチャレンジ2013」での受賞者のライトニング・トーク(短時間のプレゼンテーション)が実施された。LODチャレンジにはオープンデータに関するアプリケーションの多くが応募されており、今の「ナマの」オープンデータ活用の動きを見ることができた。
まず、木田和海氏による「足で稼ぐデータ ~『通勤問題解決プロジェクト』を例にしたOpenStreetMap 活用のポテンシャル~」という発表があった。オープンストリートマップ(OSM)プロジェクトは有志のコラボレーションによってオープンな地図データから地図を作るプロジェクトで、元データを使ってさまざまな活用をできる可能性がある。
今回のプロジェクトでは、通勤の混雑に関する問題を解決するために、「混雑はどのようにして起きるのか」を理解することを目指し、駅出口のデータを自力で収集してOSMに入力した。半蔵門駅で50程度の出入り口などのデータを収集し、地理情報やLODなどの情報で提供できるようにした。
OSMによる駅出口データの作成と分析
山本泰智氏による「メイド・イン『地元』~『地域愛』と『オープンデータ』を活用した地域活性化~」では、近年あまり地産地消や食の安全などの関心が高くなっていないことに着目し、皆が関心を持ちやすい“食”をテーマにデータを活用して地域活性化を目指した。レシピ情報や農林水産省の産地情報、出荷量のシェアをRDF(自動処理が可能であり、共通の定義を持たせた形式のデータ形式)化し、地元と料理を入力するとそのうちのどれくらいが地元産の素材かわかるサービスを開発した。
メイド・イン「地元」概要
プラチナスポンサーによる、企業によるオープンデータへの取り組みの紹介
3年間LODチャレンジのスポンサーをしている日本マイクロソフトの大田昌幸氏は、横浜市の持っているデータのオープンデータ化への協力、千葉市での道路の痛みや講演の遊具の破損などを市民がスマートフォンで報告する実証実験のプラットフォーム、またその元となったマイアミ市のケースを紹介した。
これらのシステムの基盤はクラウドコンピューティングサービスのMicrosoft Azureをベースとしており、データ収集からビジュアライズまで一貫したサービスを提供している。また、海外のオープンデータそのものも「Microsoft Azure Marketplace」で提供している。
Microsoftによる千葉市の実証実験への協力
朝日新聞社では「未来メディアプロジェクト」の一環として、「データジャーナリズムハッカソン」を開催した。社内の社会的な問題意識を元に、記者と外部の人が連携してがアイデアを練り、アプリを開発した。数年間考えてきたことが2日で実現できるなど、手応えを感じているという。サッカーの勝ち、負け、引き分け、スコア、得点者を予想するアプリ「BIFA」のプロジェクトは現在も続いているという。10月末には新聞5紙によるハッカソンを開催することも明らかにした。
ハッカソンから続いている「BIFA」プロジェクト