各団体の活動の紹介
オープンデータの推進役は、非常に多岐にわたる。主要な8つの団体、自治体、企業の代表者が登壇し、活動の現状や方向性について発表した。
Open Knowledge Foundation Japan(OKFJ)の庄司昌彦氏は、国内や海外のオープンナレッジファウンデーション(OKF)の活動について報告した。OKFはイギリスに始まり世界54カ国に展開しており、さまざまなサービスや「オープン」の定義の議論まで広く活動している。その日本版であるOKFJは2012年に立ち上がり、Data(多様なデータ)/Policy(政策提言)/International(国際連携)を軸に活動をしている。活動の指針として、ビッグデータよりも、小さいデータを誰でも使えることが重要だという方針を取り上げた。
OKFJではオープンデータにまつわる動きを共有する「オープンデータ・トーク」などのイベントを定期的に開催しており、年1回の世界的イベントであるInternational Open Data Dayも2014年には世界で2番目の会場数となった。利用者の意見の反映や利用規約の見直し、パブリックコメントのあり方などの政策提言を実施した。
海外で実施しているオープンデータのカンファレンス「OKCon」では透明性が国際戦略であり、アフリカを含めて「つながった経済」をビジョンとする議論が進んでいることを取り上げた。このほか、ビジネス事例を収集した「Open Data 500」の日本版、アジア版をつくろうというプロジェクトなどを紹介していた。
OKFJなどによって作成された、日本政府のデータカタログが閉鎖した際のクローンサイト「Datago.jp」
総務省や経産省、民間を含めた「オープンデータ流通推進コンソーシアム」での活動が三菱総合研究所の村上文洋氏により紹介された。まず、委員会において政府でのオープンデータ化の利用規約の策定や、オープンデータがどうあるべきかを述べた「オープンデータガイド」の発行、APIの仕様策定などを実施している。また、「気象データ・アイデアソン/ハッカソン」などのハッカソンの運営や、国内のオープンデータの事例を取り上げて表彰する「勝手表彰」などを実施している。
シンポジウムも開催しており、「オープンデータシンポジウム」では漫画「ブラックジャックによろしく」のオープンデータ化などについて取り上げた。アプリコンテストも行っており、一般からアプリやアイデアを集める活動も行っている。今年はMashup Awardsと提携してオープンデータ部門賞を設けている。
コンソーシアムの活動紹介の後、これからのオープンデータについての意見を述べた。オープンデータに関する活動を始めて3年半が経過しており、周知は十分にされたと認識だ。これからはビジネスや地域活動など社会に浸透する段階としている。また、データに関する取り扱いは難しいため、完璧を目指すのではなく50点を60点にすることを目指すべきだとしている。利用規約を変更するなど小さいところから始めると進展するだろうという結論で締めくくった。
オープンデータ流通推進コンソーシアムによる、ハッカソンや勝手表彰
市民がICTを使って行政と協働して問題を解決するプロジェクト「Code for Japan」について、小俣博司氏が発表した。キーとなるのは地域の問題を技術で解決する「Civic Tech」であり、基本的に地域をベースに活動している。現在「ブリゲード」という地域コミュニティが増加しており、18団体が既に立ち上がっており、16団体が設立準備にかかっている。
また、復興庁などと協働した福島県浪江町の復興プロジェクト「Code for Namie」では、フェローシップとして浪江町にエンジニアを送ってアイデアソンなどを元にシステムの仕様などを策定している。これらはアメリカのCode for Americaを日本流にアレンジした活動となっており、アメリカでは起業家支援などの活動もある。日本では、毎週木曜日に誰にでも開かれた「井戸端会議」を行っており、さまざまな一般市民を集めて議論がある。10月10~12日にシビックテックのショーケースとなる「Code for Japan Summit」を予定している。
Code for Japanのビジョン