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大元隆志のワークシフト論

未知の体験は広告では伝わらない--「ハッカソン」が注目される理由(前編)

大元隆志(ITビジネスアナリスト)

2014-05-19 07:30

 これからの企業に求められる新しい組織力とは何か――。企画から製造までをすべて自社でまかなっていたのは昔話だ。ビッグデータやモノのインターネット(IoT)などから商機をつかもうとする企業を中心に「ハッカソン」と呼ばれる開発イベントの取り組みが注目されている。

 先行企業は、次から次へと現れ流行とも言える“キーワード”をどう活用すれば、ビジネス価値が創出できるのかを考えている。それも社外に存在する無数のコミュニティとともにだ。

 今回は、ハッカソンを企業活動に取り入れ、新サービス「Twilio」の開発に取り組んでいるKDDIウェブコミュニケーションズSMB事業本部Twilio事業部ゼネラルマネージャー小出範幸氏に話を聞いた。

市場が存在しないコンセプトを世に伝えるために


KDDIウェブコミュニケーションズ SMB事業本部 Twilio事業部 ゼネラルマネージャー 小出範幸氏

--Twilioとはどんなサービスでしょうか。

 誰でも簡単に“電話”を組み込んだアプリを作れるサービスです。従来までは電話と言えば通信事業者が提供するサービスでした。しかし、Twilioなら電話を部品化してアプリケーションに組み込むことができます。

 具体的には、電話回線を利用する「VOICE」と、インターネット経由でVoIPを利用する「CLIENT」、SMSを送受信する「SMS」という3つの機能があります。これらの部品をAPI経由で呼び出し、誰でも電話を利用したサービスを作ることができます。

--電話が「部品」になるというのはどんな利用方法があるのでしょうか。

 アイデア次第でさまざまな使い方が可能ですが、一般的な利用例として担当者に一斉に電話する“一斉通知”や、特定のメンバーに対して順番に電話する“順次連絡”があります。Twilioの顧客であるヤフーはこの仕組みを利用して、サービスの品質向上に成功しています。

 従来まではサーバに障害が発生すると監視システムが障害を検知して担当者にメールを送信し、メールを受信した担当者が電話するフローでした。この仕組みの問題点は深夜など担当者が睡眠していて起きないことです。そのため、数時間障害に気付かないということもあったそうです。しかし、Twilioの仕組みだと担当者が起きるまで、電話が鳴りますから、対応にかかる初動時間が格段に短くなったとのことです。

--担当者目線で考えると複雑な気分ですが、確かに深夜熟睡している場合、メールだと気付かず起きませんから、効果はあると感じますね。他にはありますか。

 電話のトラッキングが可能です。企業や店舗に電話がかかってきた時に、その顧客がチラシや看板などの中から、何を見て電話をかけてきたのか通常はわかりません。しかし、Twilioを利用するとウェブサイトに記載された番号をクリックして電話がかけられた場合、そのウェブ画面をクリックして電話がかかってきたことがわかります。niftyさんの「暮らしづくり代行」で利用されています。

 名刺管理アプリ「Eight」を提供する三三は、ユニークな使い方をしています。ポスターなどに書かれた番号に電話をかけると、その番号に対してSMSでアプリのダウンロードURLが送付され、それをクリックするとEightがダウンロードされるというものです。この仕組みでダウンロード数が5%向上したそうです。それまでの他の施策では1%向上させるのにも苦労していたということなので、大きな効果があったようです。

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