大元隆志のワークシフト論

未知の体験は広告では伝わらない--「ハッカソン」が注目される理由(前編) - (page 3)

大元隆志(ITビジネスアナリスト)

2014-05-19 07:30

ハッカソンを開催するポイント

--ハッカソンイベント開催のポイントを教えて下さい。まず、開催頻度はどのような方針で運営されていますか。

 当社主催のものは、今のところ年1度の開催です。われわれのハッカソンは「優勝者の事業化を支援する」ことを売りにしているため、ハッカソン開催にはかなりマンパワーが必要になります。


 ハッカソンは、アイデアのブレスト、コーディング、プレゼンといった流れで開催されるのが一般的です。われわれはコーディングの部分により多くの時間を割くため、アイデアのブレストは「アイデア募集」で対応します。

 アイデア募集が書類審査として機能します。今年は43作品の応募があり、書類選考を通過した21作品のチームを当社に招いてハッカソンを開催しました。

 そして次にハッカソン当日ですが、アイデアを「サービス」にすることがゴールとなります。土曜日の午前11時にオフィスに集合、午後11時まで作業。翌日の午前10時に再度集合してもらい、午後3時が締め切りとなります。(中には寝ずに作業する人もいるため)最大28時間が作業時間です。そして、でき上がったサービスをデモも交えてプレゼンしてもらいます。

 ここがハッカソンの面白いところで、どんなに素晴らしいコーディングだったとしても、最後のプレゼンで共感を得られないと、優勝できないことがあります。もちろんプレゼンが上手なだけでまったく動かないサービスも評価されませんから、コーディングとプレゼンのバランス感覚が求められます。

--書類審査から始まって、開催当日に28時間ですか。確かにマンパワーがかかりますね。これはすべて業務として対応されるのでしょうか。

 業務として取り組んでいます。ただし、ハッカソン当日の対応は28時間つきっきりというのは難しいので、交代制だったり、参加できる時間帯だけ参加してもらったりと、融通が利く状態にしています。

--ハッカソン開催の狙いには、イベント開催による認知拡大もあると思いますが、それですと1年に1度の開催では少ないのではないでしょうか。

 はい、ハッカソンは1年に1度ですが、毎月1度純粋にアイデアをブレストする「アイデアソン」を開催してきました。コーディングや専門知識は不要なため、誰でも参加可能です。このアイデアソンでアイデアが生まれてハッカソンに応募する人もいます。また、自社イベント以外に、社外のハッカソンやアイデアソンなどのイベントでAPI協賛する形で、Twilioを知ってもらう取り組みがあります。

 また、自社イベント以外に、社外のハッカソンやアイデアソンなどのイベントでAPI協賛し、認知を広げています。(後編に続く)。

大元隆志
通信事業者のインフラ設計、提案、企画を13年経験。異なるレイヤの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。

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