Hewlett-Packard(HP)は米国時間10月6日、会社分割を正式に発表した。
HPのエンタープライズサービス、ソフトウェア、サーバ事業はHewlett-Packard Enterpriseに、PCおよびプリンティング事業は、HP Inc.に引き継がれる。分割は2015会計年度が終了する時点(2015年10月)までに行われる予定。
同社の分割計画は、The Wall Street Journal(WSJ)が10月5日に「本件に詳しい情報筋ら」の話として報じるなど、週末からうわさされていた。
このうわさを受け、米ZDNetの編集長Larry Dignanは、「the split could turn out to be a good thing.(分割が良い結果をもたらす可能性がある)」と述べ、分割が理に叶っている理由を5つ挙げていた。
以下にその5つの理由をご紹介する。
- 集中。現在の状態のHPが、勝利のために必要な分野のすべてに集中できるかどうかは不明だ。HPは3Dプリンティング分野への参入が遅れたほか、同社のパーソナルコンピュータ部門は市場シェア首位の座をLenovoに明け渡した。対照的に、エンタープライズ部門のいくつかの取り組みには将来性がある。HPの「Moonshot」サーバは興味深い。また、同社は急速に成長しているビッグデータ関連の製品とソフトウェアを統合した。しかし、そうしたHPの可動部分のリストは、完全には程遠く、同社の問題を浮き彫りにしている。つまり、どの分野への集中も不十分なので、本当の意味で1つの分野を支配するには至っていない。
- 研究開発投資。Whitman氏は、縮小するHPの研究開発投資を再び拡大させようとしている。しかし、現状のHPでは、プリンタおよびPC部門が技術革新への投資をめぐって、エンタープライズ部門と争っている。同社の研究開発投資は売上高の約3%に相当する金額で、多くの部門がそれを獲得しようとしている。
- 株式非公開化の道が開ける。HPのプリンティング部門は大きな利益を生む部門であり、株式非公開企業になる要素をすべて備えている。1社の巨大企業として、HPが株式を非公開化するのはほぼ不可能だ。会社分割により、各部門は自らの選択肢を現実的に検討できるようになる。非公開化は、より戦略的で長期的な動きにつながるかもしれない。Dell、Tibco、BMC Softwareなどが上場廃止したように、株式非公開化を選ぶ企業は間違いなく増えている。
- HPにはもっと多くのソフトウェアとクラウドが必要だ。HP最大の弱点はソフトウェア部門であり、同部門は売り上げに占める割合をもっと増やす必要がある。HPにとっての問題は、ソフトウェア部門が極めて大きな数字を達成しなければ全体的な売上高に目立った変化は起きないということだ。HP Enterpriseは、より小規模なエンタープライズ部門の一部として、Red Hatのようなエンタープライズ分野の巨大企業との合併や、SaaS企業の買収を計画することができるかもしれない。
- さらに大きな企業から見ると、HP Enterpriseは買収しやすい企業だ。報道によると、HPはEMCと協議したが、価格と事業構造が原因で買収成立が難しくなったという。EMCはPC事業に何を望むのだろうか。プリンタはどうか。HPがPCおよびプリンティング部門を捨てれば、EMCとHP Enterpriseの合併ははるかに興味深いものに思えてくる。