デジタルビジネスで何がどう変わるのか--ガートナー予測で見る10の近未来 - (page 2)

NO BUDGET 田中好伸 (編集部)

2014-10-22 13:07

(5)2016年末までにオンラインショッピングでは20億ドル以上がモバイルデジタルアシスタントによって実行されるようになる

短期予測:2015年末までに、例えば氏名や住所、クレジットカード情報の入力といった戦術的にありふれたプロセスは、モバイルデジタルアシスタントによって実行されるようになる

 食料品の補充のような一定の固定されたイベントが一般的になり、この種のアシスタントに対する信頼性が高まって、より活用が進むだろうという。2016年までに、新学期用のバックパックの購入や連続するイベントのスケジューリング (記念日にふさわしい、評判の良いデート向きの映画、ディナー、自動車の送迎など) といった、より複雑な購買の意思決定も簡単に実行できるようになるだろうと予測する。

 モバイルアシスタントによる自主的な購入額は年間20億ドルに達する見込みという。これは、モバイルユーザーの約2.5%がモバイルアシスタントを信頼し、年間50ドルを使用した額に相当する。デジタルアシスタントはさまざまなプラットフォームで提供されるが、最もアクセス性に優れ、デジタルアシスタント向けのデバイスとして普及することが見込まれるのは、モバイルプラットフォームであり、2016年末までにキラーアプリケーションとなると考えている。

(6)2017年までに米国内の顧客によるモバイルを利用した購入行動で米国のモバイルコマースの売り上げはデジタルコマースの売り上げ全体の50%に達する

短期予測:2015年はモバイルコマースが大幅に増加するとともに(Apple Payの登場や、GoogleによるNFC対応Google Walletの普及促進など、競合各社による同種サービスの提供も増加要因の1つである)、モバイルペイメントに対する関心が改めて高まる

 スマートフォンとタブレットの高機能化と、高品質で強力なアプリケーションで消費者とビジネスユーザーは事実上購入プロセスのあらゆる段階で、企業やコンテンツ、ショッピング環境とシームレスにやりとりできるようになると見ている。デバイスメーカーとアプリケーション開発企業が利便性と機能性を高めながらセキュリティに対するユーザーのニーズを満たしていくことで、ユーザーにとって必須のツールとしてのこれらデバイスの重要性も高まることになる。

 これは特に若年層に当てはまるという。生まれたときからネットを通信、情報、トランザクションのプラットフォームとして利用し、モバイルデバイスを使いこなしてきた若年層は、常にオンラインでチャネルのタイプによる制約のないショッピングエクスペリエンスをサービスプロバイダーと小売企業に期待することになるという。

(7)2017年までに、デジタルビジネスモデルを成功に導いている企業の70%が、顧客ニーズの変化にあわせてシフトできるようにデザインされた、意図的に不安定なプロセスに依存するようになる

短期予測:2015年末までに、グローバル企業の5%が競合優位性をもたらす“卓越した操作性(supermaneuverable)”なプロセスを定義する

 ビジネスモデルを革新した結果、一部のビジネスモデルを意図的に不安定にしなければならなくなると説明する。ここで言う「意図的に不安定なプロセス」とは、変化に対応できるように考えられたプロセスを指し、顧客ニーズの変化にあわせて動的に調整できるものだ。

 こうしたプロセスが必須である理由は、顧客ニーズの変化にあわせてシフトできる優れた俊敏性、適応性、「supermaneuverable (卓越した操作性)」を兼ね備えているからだと解説する。このような卓越した操作性のプロセスの背後には、より大きくより安定したプロセスがあると説く。顧客とのやりとりは、予測不可能であり、より大きくより安定したプロセスを継続させるために、時宜に応じた意思決定が求められることになる。

 こうした顧客とのやりとりをサポートできる上述のプロセスは、競争上の差別化要因となり得る。このようなプロセスは一般的に、競合他社が真似することはできない。意図的に不安定なプロセスは、企業と従業員がより流動的に変化に対応する能力の大幅なシフトをもたらすことになる。

 より迅速に変化する能力では“組織の流動性”というコンセプトが活用されるという。ビジネスモデルやプロセス、テクノロジ、人間が混じり合う、この全体論的なアプローチでデジタルビジネスの成功が促進されるとの見方だ。

(8)2017年までに消費者製品への投資の50%がカスタマーエクスペリエンスのイノベーションに向けられる

短期予測:2015年までに、既存の消費者製品の半分以上が、オンライン環境でネイティブに購入できるようになる

 多くの業種では現在、熾烈な競争で従来の製品やサービスが持っていた優位性がなくなり、カスタマーエクスペリエンスが競争の新たな戦場になっている。これが最も顕著なのが消費者製品市場であり、検索を通じた価格情報や製品情報へのアクセスといった利便性で極端なコモディティ化を強いられるとともに、さまざまなソーシャルチャネルでブランドロイヤリティの低下に見舞われている。

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