神奈川工科大学は、学生が所有する個人PCをシンクライアント化する環境を構築した。富士通エフサスが12月10日に発表した。
神奈川工科大では、実践的なITエンジニアを育成するため、Windows 7/8、LinuxといったマルチOS環境で講義を行っており、開発環境やアプリケーションについては、随時バージョンアップなどで最新のものに更新している。同時にサーバやPCといったハードウェア資産はできるだけ減らしていくことが求められていた。
こうした課題を解決するため、富士通エフサスからの提案で導入に至ったのが、今回の環境になる。プライベートクラウド環境と学生が所有する個人PCからアクセスできるシンクライアントで構成される。
具体的には、学生のPCに「Citrix Receiver」をインストールして、サーバ上に「Citrix XenDesktop」で仮想化されたPCにアクセスする。通常の講義では、個人PCのブラウザから仮想PCにアクセスできる。
映像やCGなど特殊なグラフィックボードを必要とする講義では、据え置き型のハイスペックなPCを導入し、必要にあわせてXenDesktopの仮想PCにアクセスする。シンクライアントとハイスペックPCのハイブリッド環境と説明している。
Receiverから仮想PCには専用プロトコルであるICAでアクセスする。LinuxをOSとする仮想PCにはリモートアクセス用ソフトであるVNC(Virtual Network Computing)からログインする。
システム概要(富士通エフサス提供)
こうした仕組みにすることで、端末ごとのインストールやアップデートなどをせずにWindows 7/8、LinuxといったマルチOS環境、常に最新のアプリケーション環境を提供できるようにした。国内の大学で、学生の個人所有PCのBYOD利用を実現するのは神奈川工科大が初という。
今回、教室や設備に依存しない新たな教育環境の基盤が整ったことで、今後は遠隔授業をはじめとするさまざまな革新的な取り組みも可能となると説明する。
富士通エフサスが常駐して運用サービスを提供することでシステムの運用負荷は軽減されるという。またハードウェアの部品交換からソフトウェアのトラブル、仮想マスターの更新まで窓口を一本化できると説明。仮想化技術をベースとしたことでシステムの持続性や拡張性が向上して、総所有コスト(TCO)を削減できるとしている。