米ZDNet編集長Larryの独り言

「Windows 10」に浮上する疑問--マイクロソフトの新戦略は成功するか

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-01-26 06:00

 米国時間1月21日、Microsoftの幹部陣は、「Windows 10」で利用可能になる多くの新機能やアプリケーションを発表した。Windows 10はユニバーサルアプリを提供し、モバイル端末からPC、「Xbox」まであらゆるものをつなぐことになる。言い換えれば、Windows 10は大変革をもたらすゲームチェンジャーになる可能性がある。

 あるいは、そうはならないかもしれない。

 1つだけ明らかなことがある。Windows 10は、見応えのある存在になるだろうということだ。なぜなら、このリリースによって、クラウドサービスからデバイス、さらにMicrosoftの経済モデルまであらゆるものにとって、Windowsが持つ意味が明確になるからだ。

 最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏は、次のように語っている。「これは、Windowsで最も連携を重視したリリースの1つだ。われわれはWindows 10を、Windowsで最も愛されるリリースにしたい。毎日、Windowsのイノベーションを前進させなければならないという責任の重大さに気づかされる。人々がWindowsを必要とするのではなく、Windowを選び、Windowsを愛するようになってほしいと思っている」

 MicrosoftのOSグループ担当バイスプレジデントのJoe Belfiore氏は、Windows 10の多くの機能のデモを行った。音声アシスタントの「Cortana」がWindows 10に搭載される予定だ。また「Windows 7」以上のバージョンのユーザーには、Windows 10への無償のアップグレードが(少なくとも1年間)提供される。そしてタッチベースの「Office」が登場する(今度こそ本当だ)。新しいブラウザも登場することになっており、Windows 10にはじっくりと吟味すべき点がたくさんある。

 しかし筆者は、答えよりも疑問の方を多く抱えている。この記事では、Windows 10が開発者やテストコミュニティーに公開される中で、このプラットフォームについて浮上している疑問について考える。

 Windows 10によって、Microsoftはイノベーターの地位に返り咲くか。同社はWindows 10イベントでホログラフィ技術の開発プロジェクトについて説明し、デモを披露した。Microsoftによれば、ホログラフィ機能はAPIによってWindows 10対応デバイスに実装可能だという。「Kinect」の生みの親とされる、テクニカルフェローでエンジニアのAlex Kipman氏は、「ホログラフィックアプリを開発したいだろうか。簡単だ。開発者の皆さん、Windows 10はあなたたちのものだ。どんなユニバーサルアプリでも、『Windows Holographic』と連携するように設計できる」と述べた。さらに、Microsoftは独自のヘッドセット「HoloLens」を用意している。


提供:CNET

 開発者たちはホログラム機能に飛びつくか。Microsoftが示唆しているのは、ホログラフィックアプリを開発することは、Windows 10のユニバーサルアプリに取り組むのと少しも違わないということだ。明らかに、Microsoftの「HoloStudio」の取り組みは開発者を獲得するだろう。まだはっきりしないのは、MicrosoftをいわばHolosoftのようにするために、どのようなスキルが必要になるかだ。

 経済モデルはどのように変化するか。Windows 10は、最初の1年間は無償でWindows 7以上のバージョンからアップグレードできる。Windowsユーザーにとっては素晴らしいニュースだが、予想外のことではない。Windowsはユーザー基盤を維持する必要があり、一方で他のOS、つまり「Chrome OS」と「Mac OS」は無償だ。Windowsは、モバイルのユーザー基盤を開拓する必要もある。OSの無償提供は、市場シェアを獲得するための適正な代価といえるだろう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. ビジネスアプリケーション

    Microsoft 365で全てを完結しない選択、サイボウズが提示するGaroonとの連携による効果

  5. セキュリティ

    生成AIを利用した標的型攻撃とはどのようなものなのか?実態を明らかにして効果的な対策を考える

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]