Hewlett-Packard(HP)では2014会計年度、複数年にわたる再編計画の一環として1万5500人の従業員が職を失った一方で、最高経営責任者(CEO)のMeg Whitman氏の報酬は11%増加した。
少し時間を取って、これについてじっくり考えてみよう。
HPは米国時間2月2日に公開した最新の株主総会招集通知の中で、給与とストックオプション、そのほかの手当を含むWhitman氏の報酬総額が前年の1760万ドルから1960万ドルに増加したことを明らかにした。
一方、従業員数は2014年10月31日までに、31万7500人から30万2000人に削減されている。人員削減は同社の「5カ年再建計画」の一環として行われており、この計画では社内業務の合理化のために、今後も多数の従業員が解雇される予定だ。
同社の最近の業績を考えると、Whitman氏の報酬増額には疑問が残る。
HPの2014会計年度は、売上高が前年比で2%減少し、利益も前年比1%減となった。
では、Whitman氏の報酬が大幅に増額されたのはなぜなのか。
HPの取締役会がWhitman氏の報酬総額を承認したのは、低迷するHPの再建を目指す同氏の取り組みが功を奏していると評価したためだ。
「2014会計年度について、取締役会は当社の再建計画の段階を考慮した結果、Whitman氏に対し、同業他社の平均と同程度の給与の支払いを始めるのが適切だと判断した」。株主総会招集通知にはこう書かれている。
つまり、Whitman氏には今後、他社のCEOと同程度の給与が支払われることになる。Whitman氏がHPのCEOに就任したとき、2012年の年俸はわずか1ドルだった(とはいえ、同年、最終的に1530万ドルの報酬を受け取っている)。しかし、取締役会は2014会計年度、同氏に150万ドルの基本給を与えており、これが報酬総額の増加分の大半を占めている。
HPの株価も、Whitman氏がこの1年であげた成果を測る基準の1つと言えるだろう。2014年10月31日時点の同社株価は前年比で38%以上上昇している。
企業経営が簡単な仕事であるはずがない。そして、取締役会の決定は最終的なものだ。しかし、多くの従業員が解雇通知を受け取る一方で、その元上司が150万ドルもの給与を受け取っているというのは、納得しがたいことだ。
2012年、HPのDiscoverカンファレンスで語るWhitman氏
提供:HP
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。