ARMは英国時間2月9日、自社が開発する「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」用OS「mbed OS」のセキュリティ強化に向けて、オランダの新興企業Offsparkを買収したと発表した。この買収により、ARMはOffsparkが開発および保守する「PolarSSL」の技術を手に入れる。PolarSSLはオープンソースのSSLライブラリで、ARMによれば、組み込みシステム間の通信を暗号化するTLSとしては、世界で最も普及している技術だ。
Offsparkは、LinkedInのプロフィールによると、サイバーセキュリティ、デジタル諜報活動、暗号化技術、ハイテクビジネス開発に特化したコンサルタント企業であり、PolarSSLの開発と保守も行っている。
ARMは買収に伴い、PolarSSLの名称をmbed OSに合わせて「ARM mbed TLS」に変更する。ただし、名称の変更後もオープンソースの方針は継続され、開発者向けの商用利用も許諾される。PolarSSLの公式サイトでは、mbed TLS 1.3.10がすでにGPL下で公開されている。
ARMによると、IoTの技術開発を牽引している企業の多くは、すでにPolarSSLとARM Cortexプロセッサを採用しているため、ARMによるOffsparkの買収は、より高度に統合されたソリューションの提供に直結するとしている。
ARMはIBM、Freescale、Ericsson、NXP、Telefonicaなどの企業と提携し、2014年10月に無料OSとしてmbed OSを発表。その際、mbedデバイスをクラウド統合する開発者を支援するため、mbedデバイスをセキュアに管理できる「mbed Device Server」も発表した。
ARMは2015年末にApache 2.0ライセンス下でmbed OSをリリースする計画を立てており、このOSにはmbed TLSに加え、同社がNestやサムスンなどの企業と共同で開発を推進する低電力のIPv6プロトコル「Thread」が搭載される予定だ。
ARMは2013年にも、IoT技術を開発するフィンランドの新興企業Sensinodeを買収している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。