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バルマー氏の功績を再評価する--マイクロソフトを再びクールにした陰の立役者 - (page 3)

Mary Branscombe (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-02-13 06:30

 長年にわたってMicrosoftに投げかけられてきた敵意はしばしば、Ballmer氏にも降り注がれていた。それは同氏のこういったイメージのせいであり、また同氏が誤解されやすい人物でもあったためだ。同氏の「Linuxは癌だ」とも取れる発言は悪意に満ちているように聞こえ、一部のコミュニティーにおけるMicrosoftの評判を著しく損ねる結果になった。しかし実際のところ、同氏はLinuxのライセンスが癌のように転移し、周囲の他のコードに広がっていくと述べたに過ぎない。これは優れた形容とは言い難いが、最近の裁判結果を見れば分かるように、GPLライセンスの性質をうまく言い当てている。そして同氏は声高に叫んだわけでもない。事実をあからさまに述べただけだったのだ。

 筆者は次のような逸話を聞いたことがある。同氏とのミーティングのために従業員らがオフィスの外で待機していると、オフィスの中から「Sales Ballmer」が誰かを怒鳴りつけている声が聞こえてきた。その声にたじろぎながらも、おそるおそる部屋に入ると、同氏はにやりと笑いながら従業員らを静かに招き入れた。実は怒鳴り声は演技であり、彼らとのミーティングでは通常の会話以上の大きさに声を荒げたりはしなかったという。

 この種の緊張感を伴った静かな会話は、しばしば同氏が「Numbers Ballmer」(数字のBallmer)の顔を見せていたことを意味している。サンフランシスコで開催された「Office 2013」のイベントで、Ballmer氏が生産性ソフトウェア市場について情熱的に、かつ具体的な数値を挙げて語っていたのを思い出してほしい。もしも、Windowsの売り上げに依存する状態から脱却する必要性をBallmer氏が理解していなかったと考えているのであれば、2013年の年次株主総会における同氏の発言を思い出すとともに、Nadella氏の「Windows as a Service」(サービスとしてのWindows)という言葉と比較してみてほしい。

 Ballmer氏は2013年の年次株主総会の場で「DVDを誰かの元に送り届けて、それで終わりという考え方は魅力的で、素晴らしい経済モデルだ。私もほれ込んでいる。しかしそのようなモデルは10年後には姿を消しているだろう。その方向に進んでいく過程として、ある程度の資本投資といったものを必要とするクラウドサービスが登場するはずだ。ハードウェアメーカーの元にDVDを送り届け、対価を受け取るというビジネスが残っているかどうかは分からないが、『Android』という完全に無償のOSビジネスを手がける競合も存在するため、DVDを送り届けるのもよいがその価値をどのように活性化し、資金化していくのかが問題となる。わたしはMicrosoftの未来に変革があると考えており、われわれのプレゼンスを維持するうえでの投資に十分価値があると考えている一方、将来に向けた賭けが必要だとも考えている」と述べている。

 同氏は会社の運営状態について驚くほどしっかりと把握しており、重要な収支や数値などをすぐに口にできる。Hewlett-Packard(HP)とMicrosoftが、ITプロフェッショナルらのスキル習得に向けた無制限の共同連携のためのジョイントプログラムを立ち上げた際、Ballmer氏はHPの当時のCEOであるMark Hurd氏とともに壇上からその発表を行った。会社の業績に詳しいことで知られるHurd氏は、Microsoftの売り上げや利益幅といった数字を引用し、自らの能力を誇示し始めた。するとBallmer氏も間髪を入れず、HPの数字を挙げ始めた。これはあらかじめ打ち合わせされていたような感じではなく、Hurd氏がBallmer氏よりも優位に立とうとしたが不発に終わったように見えた。

 「Build 2012」カンファレンスでBallmer氏は「Demo Steve」(デモのSteve)という珍しい顔を見せ、製品の詳細について熱心に語り、確固たる理解を見せていた(この顔は1990年代にはよく見かけた)。基調講演の間、同氏はPerceptive Pixelのデバイスを使って自らデモを行い、この82インチディスプレイを搭載した機器をMicrosoftの運営にどのように活用しているのかを示した。「Surface Hub」の発表を思い浮かべただろうか。Ballmer氏は2012年10月の時点で「最終的には多くの会議室や教室といったさまざまな場所に置きたくなるような、そして入手しやすい価格の、82インチのスレート型コンピュータを製品化するつもりだ」と語っていたのだ。

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