Google Glassを活用したサービスも研究中
Expediaの日本での成長は、2013年度は前年比35%になるなど、過去5年間でも順調に推移している。そこで、今後高齢化社会が進む日本の市場についてどう見ているかを聞いてみた。
「日本は通信環境も良く、高齢者世代でも携帯電話やスマートフォンを使って旅行予約をするユーザーが多い。そういう意味では、マルチデバイス対応の効果が大きい市場とも言えるでしょう。ただし、一方でサービスがどれだけユーザーフレンドリーか、どれだけ低価格のツアーを提供しているかなどについて、厳しい目を持っているともいえます」
そして、Malhi氏はこんな指摘もしてくれた。
「日本の高齢者世代は、子や孫世代とのコミュニケーションがとても巧みなのではないでしょうか。モバイルツールにしても、若い世代から操作を学んだり、最新のテクノロジについての好奇心も旺盛です。当社のようなオンラインサービスの会社についても、若い世代の評判を重視する傾向にあるかもしれません。ですから、高齢者が使いやすいアプリやサービスを過度に意識することは、得策ではないと思います」
エクスペディアは「テクノロジが旅行を変える」というモットーを掲げている。そこでMalhi氏に今最も気になるテクノロジは何かを聞いてみると、ウェアラブル技術という答えが返ってきた。
「Google Glassなどを使って当社のサービスをどう使ってもらうといった研究も進めています。例えば、初めて降り立った空港のロビーでも、ウェアラブル端末を装着することでスムーズに目的地へと進むことができるといったことです。また、当社が蓄積しているビッグデータを使って、ユーザーの嗜好をつかみ、さまざまな旅の楽しみを提案するという戦略も進めています」
月間のユニークユーザー数が約9000万人という旅行サービス企業が持つビッグデータは、世界中の旅行者に大きな影響力を与える。また、そこから得られる旅行者のさまざまなニーズと最新のテクノロジを組み合わせ、旅の方法も変えることになるかもしれない。
2020年の東京オリンピックでは、さまざまな最新テクノロジによってこれまでにないサービスが数多く提供されることになる。エクスペディアが開発を進めるウェアラブル端末を使ったサービスも、2020年には当たり前の「業界標準」として利用されているかもしれない。